お兄ちゃんが町に炭を売りにいく前に、病弱でいつも床に着いている私の元へ「行ってくる。」と頭を撫でにきてくれた。
そして、帰って来なかった夜。
悪夢が家に襲ってきて、変わらない、けれど大切な日常を奪っていった。
冷えていく家族の体温を感じて、未だ意識を飛ばさずに痛みに耐え続ける私。
音は聞こえるけれど動かす気力のない体には感覚がない。
だけど指をぴくりと動かせば感じる感覚が私が生きていることを知らしめた。
血の海の中で。
気がつけば日が昇っていてお兄ちゃんの匂いがした。
どたばたと焦ってせわしなく動くお兄ちゃんの手が私の首に当てられる。
生死を確認しているのだろう。火傷してしまうのではないかと疑うほどに熱いお兄ちゃんの手に、自分の体温の低さが分かった。
薄く視界に映る、禰豆子お姉ちゃんを抱えるお兄ちゃん。
待って、私も生きてる。私も助けて。行かないで。一人にしないで。嫌だよ。
何とか残った気力で絞り出した声は小さすぎた。最愛の兄には届かず、風がひゅうひゅうと吹き込む家に、私は取り残された。執筆状態:完結
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にゃるす。(プロフ) - 最高でした!!細かい描写とキャラ達の心情が凄く心に刺さりました!!こんな素晴らしい作品を作ってくださり有難うございます!!! (2023年1月30日 21時) (レス) id: fbac834549 (このIDを非表示/違反報告)
Turtle(プロフ) - 色々とやばかったです、、、。゚(っ´;ω;`c)゚。 (2020年11月30日 23時) (レス) id: ae287d31c5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - 最高です!義勇好きにはたまりません!最高です! (2020年8月7日 14時) (レス) id: c22bf512a4 (このIDを非表示/違反報告)
リーのアニメ部屋 - アアアアアアアアアア!!千寿郎好きだから感謝!頑張って! (2020年8月5日 3時) (レス) id: 9f28f3c3ee (このIDを非表示/違反報告)
暁明(プロフ) - 銀時さん» 読んで楽しんでくださって嬉しいです。面白いお話作り頑張りますね。 (2020年4月28日 13時) (レス) id: 14dbba7e04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ice.11 | 作成日時:2020年3月28日 15時