肆拾伍 ページ45
「もう力尽きてしまうんだろう?」
「離……して…!」
「無理、城に戻さないと俺が怒られるんだよね。
…逃げたりしなかったら俺が喰べてあげられてたのに。」
残念、惨く終わるね。
軽くそんな事を言う鬼に、頭に血が登り刀を振りかざしていた。
けれど歯は通らず、簡単に吹き飛ばされた。その上、俺を追う水晶が飛んでくるのを不死川さんが守ってくれた。
「Aちゃんは貰っていくね。」
「待……て!!」
ヒノカミ神楽を構え、Aを抱えている鬼の手元を狙った。
何とかAと鬼とを離すことは出来たが、そこまでだった。Aとの戦いと今の呼吸の使用で、蓄積され過ぎた疲れの反動に足から崩れた。
Aが、連れ去られてしまう。二度目の光景。
ああ、俺は本当に無力だな。
家族が襲われた時も、Aが生きているのにも関わらず気づかなかった。
再会した当初も、Aへの誤解を生んで悲しませていた。
そして、今も、救えない。
救いたいのに。
その瞬間、雨が降ってきた。
血の。
「何だァ…!?」
「赤い…雨……?」
ザァー…と綺麗な音を立てて真紅の血液が降り注いだ。
その血に虹色の瞳を持つ鬼は不快感を露わにして、Aを連れ去る事無く足早に消えた。
隊服からじんわりと染み込んだ血が生暖かくて、俺の疲労感をたちまち流していった。
「Aの血気術、か」
伊黒さんは刀を収めて此方へ走ってきた。時透君は休んでいるらしい。
A、と言われ俺は直ぐに様子を確認する。
はっ、と息を呑めば今にも崩れてしまいそうに、大きな切り傷を沢山負ったAが居た。
体から流れている血を拭えば、俺の手の傷が簡単に治った。
「あ、んなに…出血させ、て…何、考えてるんだ」
血液はA自体を回復させる働きは無く、白い肌に伝って地面に染み込んでいくだけだった。
意識が無く、目も瞑っていた。
そして今、Aが俺達の為に捨て身の血気術を使って鬼を追い払ったのだと分かった。
「A…っ!」
こんなにも傷だらけになった愛する妹。
Aの両頬を手に包んで自分の方へ向かせ、口をそっと合わせる。
傷は少しずつ塞がり、そのまま回復の為に接吻を続けた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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にゃるす。(プロフ) - 最高でした!!細かい描写とキャラ達の心情が凄く心に刺さりました!!こんな素晴らしい作品を作ってくださり有難うございます!!! (2023年1月30日 21時) (レス) id: fbac834549 (このIDを非表示/違反報告)
Turtle(プロフ) - 色々とやばかったです、、、。゚(っ´;ω;`c)゚。 (2020年11月30日 23時) (レス) id: ae287d31c5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - 最高です!義勇好きにはたまりません!最高です! (2020年8月7日 14時) (レス) id: c22bf512a4 (このIDを非表示/違反報告)
リーのアニメ部屋 - アアアアアアアアアア!!千寿郎好きだから感謝!頑張って! (2020年8月5日 3時) (レス) id: 9f28f3c3ee (このIDを非表示/違反報告)
暁明(プロフ) - 銀時さん» 読んで楽しんでくださって嬉しいです。面白いお話作り頑張りますね。 (2020年4月28日 13時) (レス) id: 14dbba7e04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ice.11 | 作成日時:2020年3月28日 15時