私も生きてたのに

参 ページ3

「俺の名は冨岡義勇。お前の名はなんだ。」


「A、です…竈門。」



光にあたっているところは白く輝く黒い髪と、世の中の自然の美しさを全て閉じ込めたような深緑の瞳孔。
日にあたっていないのがよく分かる白い肌は、瞳と合わせれば鈴蘭の花を思わせた。

見れば美しく、言葉の少ないこの少女をどうすれば良いのか、悩んでいた。



「歳は。」


「十一……です」


「…明日、胡蝶と言う者の所へお前を連れていく。」



そうですか、と言わんばかりに小さく頷いたA。
恐らく、山奥で育ってきたために無知だろうと思い鬼について教える。



「まだ、分からないが恐らくお前は鬼だ。」


「…！」



端正な顔を歪ませて瞳の奥に怯えの感情を映す。



「けれど、鬼の血が薄いのだろう。俺達が知っている鬼とは性質が違う。」


まだ分からないことだらけだ。
まず人間である俺を前にして襲ってこないのも、例外に含まれている。
もしかしたら、日光も克服しているのかもしれない。


「怖い思いをするかもしれないが、日に手を当ててみてくれ。」


そっと縁側から手を出すA。

予想通り、ただれて崩れていくことは無かった。そのままAは全身を日に当てたが死ぬことは無かった。



「…大丈夫か。」


「…だるい、です」


けれども体力を奪われている様子。
その瞬間、Aは目を見開いて俺に襲いかかってきた。

日輪刀を抜こうとするが遅く、畳に押し倒されたと思ったら再び、唇を奪われた。



「っ…！」


「はっ、ぁ」



至近距離で見た、草木のような目の血走りが収まっていくのを。
押し倒される力も弱まり、Aの意識も戻ると俺に謝り倒した。


人間の三大欲求。
食欲、睡眠欲、最後の、それ。





「お前は、接吻で生きる鬼だ。」



・

肆→←弐

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
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西 - この方角に福があるはずです

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