参拾肆 ページ34
朝早くから胡蝶を訪ね、Aの診察に伺った。
けれど元々接吻の鬼であるのが異例である為、胡蝶は診察の結果を伝える前に「恐らく」と付けた。
「近くの者を盛らせてしまう性質…ですが、血気術による物か、接吻の鬼の性質かと思われます。」
「胡蝶でも難しいか」
体質は原因不明で、Aの不安は拭えなさそうだった。
「私達が知らない性質ですから、何が起こっても不思議ではありません。
…突然死や、暴走も…覚悟、しておいてください。」
「は、い…」
重い話であるが、知っておかなくてはならない話だろうから胡蝶は言葉を濁さず、Aにちゃんと伝えた。
一人で居ると余計に苦しくなるだろうと蝶屋敷に居てもらう事になった。
任務に向かう時間になり、Aに「行ってくる」と伝えようとすると、手を掴まれた。
「帰って…きて、くださいね」
「……ああ、待っていろ」
掴まれた手の甲に唇を落として、その甲をAの口に付けた。間接的な口づけ。
安心してもらえる様に俺なりに微笑み、任務へ向かった。
今日は早く終わらせよう。
ー
ーーー
ーーーーー
Aの兄が刀を刀鍛冶の里へ取りに行っている間。久しくAの元へ出向き、話でもしようかと思った。
日が暮れきっていたので蝶屋敷から無理矢理引っ張り出し、出店のお萩を買ってやった。
「不死川さん、お久しぶり…です」
「あァ、…最近兄とはどうなんだ。仲直り出来たのかよ」
久しぶりに見たAの顔は何処か影が射していたから、もしかして無理だったんじゃねえかと心配していた。
だが、仲直りは出来ていて関係も良いのに。その表情の真意が見えなかった。
「何があったんだ」
「…っ」
俺に見透かされたのに驚いて、隠すのを諦めた顔には疲弊も張り付いていた。
観念したのかゆっくりと話を始めた。
「…鬼の体質が、新しく現れて…厄介、なんです」
「新しい体質…」
躊躇いを見せたがAは言う、『相手を盛られてしまう性質』だと。
お陰で接吻をするのが難しくなり、かなり控えているらしい。
高い頻度でAと接吻をしている冨岡への恨みが少し晴れた様な気がした。だがその前に、その性質に疑問が沢山あった。
「ンな性質身に付けて何の意味があんだよ。生きるのに邪魔なだけだろ」
「分からない、んです」
鬼であれとも人間であれとも、進化は必要であるからする筈だ。理由の分からない寧ろ邪魔な進化に謎は深まるばかり。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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にゃるす。(プロフ) - 最高でした！！細かい描写とキャラ達の心情が凄く心に刺さりました！！こんな素晴らしい作品を作ってくださり有難うございます！！！ (2023年1月30日 21時) (
レス) id: fbac834549 (このIDを非表示/違反報告)
Turtle(プロフ) - 色々とやばかったです、、、｡ﾟ(っ´;ω;`ｃ)ﾟ｡ (2020年11月30日 23時) (レス) id: ae287d31c5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - 最高です！義勇好きにはたまりません！最高です！ (2020年8月7日 14時) (レス) id: c22bf512a4 (このIDを非表示/違反報告)
リーのアニメ部屋 - アアアアアアアアアア！！千寿郎好きだから感謝！頑張って！ (2020年8月5日 3時) (レス) id: 9f28f3c3ee (このIDを非表示/違反報告)
暁明(プロフ) - 銀時さん» 読んで楽しんでくださって嬉しいです。面白いお話作り頑張りますね。 (2020年4月28日 13時) (レス) id: 14dbba7e04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ice.11 | 作成日時：2020年3月28日 15時
