私も生きてたのに

肆拾参 ページ43

刀を向けるのも苦しかった。夜でも目立つ白い肌を持ち、林の中傷だらけでゆらりと立つ妹に。
気配がまず違う。距離があっても、刀を持つ手にびりびりと殺気が届いていた。



「A。俺だ、炭治郎だ。分かるか？」



静かに声を掛けてみるが、反応は無い。
ようやく、Aが動いたと思ったら時透君の方に手を向ける。何をしているんだ、と思って油断していたのはそこまで。



「時透君！」



真横に立っていた時透君に攻撃をされる。打って変わって濁った瞳をしている。操られているのか。
それにA自身も攻撃をしてきて、正直、俺が無事で居られるか分からない。



「っは、時透君！A！」



どうすれば、助けられるか。考えたいが攻撃を防ぐので精一杯だ。
早くもAの生み出す水晶が脇腹に突き刺さり、時透君から間合いを取った。

けれど、直ぐに近距離戦に持ち直される。
大きな水晶が目の前に迫ってきている。危機だと思っていたが、何者かによって切り裂かれた。




「何してんだ竈門テメェ」


「夜中に誠にうるさいぞ。貴様の妹だろうちゃんとしつけて置け。もしも誰かが怪我でもすればお前は腹を切るんだな。」



「不死川さん、伊黒さん…！」



此処から屋敷が近いお二人は、鬼の気配に気づいて飛んできたらしい。
心強くなり、呼吸で脇腹の傷を抑え俺も戦闘に移った。



「時透はどうした」


「操られてるみたいです！A、意識が無くて…！」



仲間が増えて余裕が出来たので見えたAの様子。目は開いているけど、呆然としていて体が勝手に動いていると感じた。
伊黒さんが時透君と一対一で抑えてくれて、不死川さんと俺でAに対する。



「っ、なんつー腕力…！？」



接吻をして正気に戻す作戦で向かっているが、不死川さんですら歯が立たない腕力。
俺も一度間合いを詰めたが、水晶の盾で遮られて、顔を触るのも無理だった。

・

・

「(時透の喉に、水晶の花がある)」



一方で、伊黒。時透との真剣勝負は余裕があってない様な戦いで、喉の奥に透明の水晶が咲いているのが見えた。
それがきっと、操作されている元であろう。



「(手を突っ込んで取るか、頬を切るか)」



どちらも難しく、心苦しい物であった。
久しぶりに見たA。伊黒は無事で良かったと思う反面、多少怒っていた。



「(何してたんだ。何故そんなにもぼろぼろなんだ。ふざけるな。

俺の物なのに傷を付けるな。)」



自分をひたむきに真正面から知ろうとしてくれているAに、伊黒は惹かれていた。

肆拾肆→←肆拾弐

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキー方角

西 - この方角に福があるはずです

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す