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(名前)は、私の憧れだった。なんでもそつなく器用にこなして、明るく振る舞う彼女の姿はさながらヒーローのようだった。
前向きに、生死を問うなんてことをせずに、ましてや死を選択するような性格じゃなかったのに。
「死にたいな」
そう呟かれた中学３年の秋、聞いてしまったのは偶然だった。
「冗談だよ、言ってみただけ。だからそんな顔しないで、亜季」
明らかに冗談ではない声色に、涙が溢れてくる。(名前)の兄の存在は、(名前)の命綱だったとでも言うのか。そう問いかけるにはあまりにも愚問だった。
「私じゃだめ？」「私じゃ、(名前)の生きる力になれない？」
聞こえているかもわからない、嗚咽まじりの声で(名前)の目を見る。私は(名前)の頬を挟んで額同士をぶつけた。一番近くにいるのになぜか遠くにいる気がして、涙がさらに溢れた。
第３章 『今際の刻みで愛を唱えてくれないか』執筆状態：続編あり(完結)
─────(名前)は、私の憧れだった。なんでもそつなく器用にこなして、明るく振る舞う彼女の姿はさながらヒーローのようだった。
前向きに、生死を問うなんてことをせずに、ましてや死を選択するような性格じゃなかったのに。
「死にたいな」
そう呟かれた中学３年の秋、聞いてしまったのは偶然だった。
「冗談だよ、言ってみただけ。だからそんな顔しないで、亜季」
明らかに冗談ではない声色に、涙が溢れてくる。(名前)の兄の存在は、(名前)の命綱だったとでも言うのか。そう問いかけるにはあまりにも愚問だった。
「私じゃだめ？」「私じゃ、(名前)の生きる力になれない？」
聞こえているかもわからない、嗚咽まじりの声で(名前)の目を見る。私は(名前)の頬を挟んで額同士をぶつけた。一番近くにいるのになぜか遠くにいる気がして、涙がさらに溢れた。
第３章 『今際の刻みで愛を唱えてくれないか』執筆状態：続編あり(完結)
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作者名：あのね | 作成日時：2023年3月17日 19時
