灯火は、まだ第3章 (ページ8)

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聞こえたページ8

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「さ、いってらっしゃい」

「迅さんは？」

「俺は他用、悪いね」

　本部に着いた私たちは、会議室へと足を運んだ。私はここに呼ばれているらしい。案内してくれた迅に礼を言って、ドアの前で深呼吸をした。一歩踏み込むと、スライド式の自動ドアが開く。

「失礼します」

「ご苦労、そこの席に座りなさい」

　正面に座っている男はそう言った。なんとも薄暗い空間には数人の大人が座っており、なんとなく上の人間だろうと推測する。横を見れば気まずそうな表情をした亜季もいて、深刻さと、焦りが無意識に体を熱くする。

「A、落ち着いて聞いてほしいの」

「AA。突然だが君はボーダーの階級を知っているかね」

　急な質問に眉を顰め、おずおずと答える。

「……A.B.C級」

「そうだ。それらの階級に属するトリガーはここ、ボーダー支給のものだ。君も所持しているだろう。だが、もう階級はもうひとつある」

　顔に傷をつけた人が、ゆっくりと瞬きをした。その瞬間、カウントダウンが始まった気がした。

「S級と呼ばれ、そこに振り分けられる隊員は特殊なトリガーを所持している」

　この場所に呼び出して、こんな話をしてくるなんて答えはひとつしかない。私は特別、そう言われている。

　正面の男が再び口をひらく数秒、蓄積されてきた過去が全部フラッシュバックする。

「さて、AA。君のその所持している黒トリガーについてだが─────」

　その瞬間、私から波紋が広がった。

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