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「おれの未来視は会ったことない人に対しては視えないって何度も言ってんのに」
くるりと回って歩き出す迅の制服の裾を咄嗟に掴んだ。引っ張って、無理やり胸に頭を預けてさながら懺悔するかのように呟く。
「お兄ちゃんは、あの日、私を庇って死んだ」
迅はなにも言わない。それが逆にありがたかった。
「それで、死に際に手を掴まれて、私に痣を作って、消えた」
迅の言ってたことは嘘じゃないとしても、私のこの苦しみが嘘だったと思いたくなかった。
「兄は、私を呪ってる。あの日、私だけが生き残ったから、私のせいで、兄は死んだから、」
から、なんだ。口に出した途端に無気力になり、迅の制服を掴んでいた手が宙に浮く。ああ、なんで言ってしまったんだろうと言う気持ちと、こんなこと言ったってどうにもならない気持ちが不明瞭に頭を巡る。
俯いたままでいると、迅はまるで夕食のメニューを聞くかのようななんでもない声色で話しかけてきた。
「見せてよ、その
ひどく優しく左手を取られ、その日、私は初めてこの呪いを
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作者名:あのね | 作成日時:2023年3月17日 19時