灯火は、まだ第3章 (ページ2)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:5,767 hit

・ページ2

─────

「ひかり、この前はごめん」

「え？なんのこと？」

「……三輪こと、頼んだんでしょ」

　隣に当人がいないことを横目にして言うと、ひかりは本気でわからないと言う表情をしたあと、ああ！と頭に電球を跳ねさせた。

「いやいや！アタシの方こそ、そばにいられなくてすまん」

「いや、そんな」

「誰かに頼もうと思ったんだけど、Aってアタシ以外と喋ってんのみたことねぇなって思ってさ」

　確かに、考えてみればひかりとしか話してない。

「それでそういえば本部で三輪と知り合いだとか言ってたの思い出して！」

　ひかりの大きくなる声が、この賑やかな教室で誰も聞いてないことを願う。

「知り合いっていうか、助けてもらったの」

「なるほどな！」

　ひかりはあっという間にパンを食べ終えると、いつになく真剣な表情をした。

「あのな、A」

　その表情に、思わず喉がぐっと詰まる。そういう顔もするんだ、なんて感想が頭の片隅で浮かびながら、視線が逸らせない。

「余計なお世話かも知んないけど、嫌な時は嫌って言っていいんだからな。たとえそれが家族だとしても」

「……ごめん」

「だから謝んなって！」

　ひかりは高く笑って言った。

「うちら友達だろ？」

─────