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嫌と言えないこころ ページ3
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ひかりは転校してからなんだかんだ一緒にいてくれた。多分担任に頼まれたのもあるんだろうけれど、その明るく無神経そうな第一印象とは打って変わり、面倒見も良く私の事情を深く聞いてこない距離の取り方に感謝しているところもある。
亜季に言えないことを、ひかりに言うなんておかしいと分かっていながら自分にいいきかせる。私は亜季を信じていないわけでは無いって。
「……あのね」
「うん」
「本当は、ボーダー好きじゃない」
「うん」
「それに、グイグイくる人も苦手」
「うん」
「でもひかりのこと悪く言ってるわけじゃないよ」
「わかってるって」
ひかりは安心させるような声色で微笑んだ。
「私、晴子さんきらい」
「うん」
「だって、私に意地悪するんだもん」
今までされたことを振り返れば意地悪というには度が過ぎていたが、それで許してやるという気持ちがあった。もうあの人になにか言われても言い返す気概ができたから。
「特別扱いする人も嫌だ」
それは心からの言葉な気がした。仁礼は相槌を打った。
「私はみんなと一緒がいい」
声にしたら、腹にあった鉛を吐き出せたような気がした。
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作者名：あのね | 作成日時：2023年3月17日 19時
