千鶴の経由 ページ47
千鶴の買い物を手伝いながらAは、ソッと千鶴の心を覗いた。
素直な人間ほど、心と言うのは読み取りやすい。
そのため、簡単に覗く事が出来る千鶴の心は湖面の様に静かで綺麗だ。
『千鶴、実はな、暫く京へ行く事になった。』
『え・・？』
女姿の千鶴に背を向け、縁側から空を仰ぎながら、剃髪の男がそう告げる。
『そっか・・、京は治安が悪いって言うもの。
気をつけてね父様。』
同じく寂しそうに告げる千鶴の口調には覇気がない。
それに気づいた剃髪の男は微笑みながら、
『出来る限り文を出す。
心配はいらない。』
と、千鶴を勇気付けるように力強く言った。
そして、そこで一度千里眼は場所を変える。
次に映ったのは、男装して暗い夜道で蹲る千鶴の姿。
彼女の視線の先には、A自身も遭遇したあの“獣”がいた。
爛々とし、血走った赤い目と白い髪。
不逞浪士を必要に突き刺す浅葱色の羽織を着た男は一言で言えば狂っていた。
『逃げなきゃ・・』
竦んだ足で一歩踏み出した途端、壁に凭れかけていた木板が音を立てて崩れてしまう。
その音に気づかないほど“獣”は阿呆ではない。
奇声を上げて千鶴に近づくと、なんの躊躇もなく刀を振り上げた。
『きゃああぁぁ！！』
刹那、空を斬る音が耳朶を打つ。
生暖かいモノが千鶴に頬にこびり付き、生々しい臭いが鼻腔を刺激した。
“獣”はガクッ、と崩れ落ちると事切れた。
そこに現れたのは浅葱色の羽織を着た斎藤、沖田、そして土方。
貴女「(なるほど、そう言う経由で・・)」
心の中で呟き、彼は千里眼を閉じた。
これ以上、人の記憶を探るのは彼自身も本意でない。
そして、現実と千里眼の狭間と言うのは激しく精神を消耗させる。
彼の様な集中力がなければ、この場で倒れていただろう。
だが、彼自身も限界の域ではあった。
千鶴「こちらの野菜とこちらの野菜、どっちが良いと思いますか？
買う物によって夕飯が・・」
一度、そこで千鶴の楽しそうな声が悲嘆に変わった。
千鶴は声に出すよりも早く表情でAの背後を示す。
ハッ、と振り向こうとするも背後から両手を押さえつけられ、骨ばった手で口元を覆われる。
体力を消耗していた彼は抗う事が出来ず、持っていた荷物を地面に落して、その場に膝を突いた。
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーアルファベット
X
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 518人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
岬鬼(プロフ) - シープJrさん» シープJrさん＞いえ、そう質問してくださると私も勉強になります！ありがとうございます！ (2015年3月28日 17時) (
レス) id: 2c654a1a4c (このIDを非表示/違反報告)
シープJr(プロフ) - 岬鬼さん» いえ、こちらこそ間違えてすみません！！(>_<) (2015年3月28日 9時) (レス) id: 1811e5b73e (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - シープJrさん» シープJrさん＞はじめまして、コメントありがとうございます。 いえ、主人公は女の子になります。男装している設定なんですが、わかりにくくて申し訳ありません！ (2015年3月28日 5時) (レス) id: 2c654a1a4c (このIDを非表示/違反報告)
シープJr(プロフ) - 質問なんですが、夢主は男ですよね？ (2015年3月28日 0時) (レス) id: 1811e5b73e (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - ☆晴華☆さん» ☆晴華☆＞それと、映画があんまり好きじゃないかな汗 大音量で聞くのがちょっと苦手(~_~;) (2013年8月24日 7時) (レス) id: 37539a4d10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
