38.布告 ページ38
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「あんた、薬師高校の…………スパイ？！」
Ysと入った黒い帽子に手をかけて、望月はニッと笑った。
『御幸くんの後輩？沢村くんだっけ』
「なっ？！なぜ俺の名前を？！やはりスパ…」
「栄純くん！話し進まないから黙って！！」
かわいい子が多いねー、笑いかける望月に声をかける。
「1回戦はコールド勝ちしてるとはいえ、
相手はセンバツベスト8の市大三高。
正直勝てる見込みはねーと思うけど」
冷たく言う。
でも望月は、ふふんと笑って、
『そーやって余裕かましてる王者とやらが、私たちみたいなんに足下すくわれるんだよ』
中学の時、オドオドしながら俺にくっついてきてた女は、
自信満々の顔で、堂々と自分の足で、俺の前に立っていて、
『うちの4番、せいぜいしっかり見ときなよ』
「望月センパーーーイ！！！監督が早くしろクソモッチーて言ってます！！」
『あ、うん今行くー！じゃーまたね！』
ニコリと笑って、手を振りながら去る望月を、
俺達はぽかんと見つめていた。
「御幸一也！！あの人なんなんすか？！」
「…先輩のこと、一也って呼んでましたね」
「彼女？！彼女なのかー？！」
「ちげーよ、バーカ」
「バカだとー？！」
ギャーギャー騒ぐ沢村をあしらっていると、
試合開始のアナウンスが流れた。
さー。そこまで言うなら薬師の実力、
見せてもらいましょーか。
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作者名：すた | 作者ホームページ：
作成日時：2015年12月6日 0時
