【あんスタ】私の方が可愛いのに。

その37 間違っていないのに ページ40

『…玲明学園？』

「そうそう！なんかね、その学院の生徒が公園の近くの会場で、ライブするんだって」

桃李がにこにこと嬉しそうに語る

その学院の誰かのファンなのだろうか

『行こ！』

タイミングがよすぎて、怖くなるレベルだが、チャンスを逃す訳にはいかないもんね

『それって、いつあるの？』

「…えっと……来週、だったかなぁ？」

もー、しっかり把握しといてよ。なんて、ぶーぶー言ってみるが、ライブがあるという情報だけでもありがたすぎる

もう、お金あげちゃうレベルだね

桃李くんにとって私があげるお金とか端金だと思いますけどね

にこにこと幸せそうに笑う桃李に対して、私はニヤニヤしているので

にやけているのを親にバレないように必死で真顔になろうとして物凄く気持ち悪い顔になる人みたいになっていた(伝わらない)

『絶対、いっしょに行こうね！』

にこりと一生懸命笑って、桃李に言った

「うん！絶対だよ！」

桃李の笑顔を見て、少し、心が痛くなった

自分のために友達を利用して、最低、だよなぁ。

大丈夫。私の決めたこの道は間違っていない

間違っていたとしても、これは私が私のためにしたことだ

だから、自業自得だと納得できる

絶対に後悔なんて、しない

＿＿＿＿


彼女のことは苦手だ

彼女は何もかもがつまらない

彼女の願うことはありふれすぎている

彼女は人々を騙している

彼女は嘘をつかない

だから、彼女はつまらない

「…私、貴方に何かしたつもりもないんですけど」

『そうやってすぐに否定的な意見を投げ掛ける貴方は…本当につまらない人間ですね』

『貴方は、足掻いているつもりになっているだけ。本当は足掻いてなんていないのでしょう』

「私は、愛されたい。だから、」

"足掻いている"とでも言うのか

愛されたいというのは貴方の願いであり、それ以上でも以下でもない

貴方の"愛されたい"という感情は"貴方の願い"という言葉で片付けられて

誰かに叶えられることもなく

貴方が叶えることもなく

"貴方の願い"

それだけで、いずれ消えてしまうような、その程度のもの

「貴方だって、似たようなものでしょう」

『…なぜ、そう思うのですか』

「貴方は仲間を守ったつもりになっているだけ。本当は守れてなどいませんよ」

「実際、貴方は何を守れたんですか？自分を犠牲にしただけでしょう」


「守れてなどいないくせに、自分を犠牲にしただけで、守ったつもりになりたかった。それだけ、なんでしょう？」

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