15.作曲家 ページ15
「これ、どうかな」
ようやく出来た曲をみんなにおそるおそる手渡すと、それぞれが楽譜に目を通しはじめる。
...き、緊張する...。
ドキドキしながら反応を待っていると、パッと誰よりも早く顔を上げたのは翔くんだった。
「七海の曲とは全然違うのな」
...その顔からして不満ってことだよね。まぁ、ある程度予想はしてたけどさ。
「でもさ、ノリが良くて元気が出る感じだしすごくいいよ！」
「そうだね。先輩たちの曲とオレたちの曲って前から少し雰囲気違ってたし、これはこれでいいんじゃないかな。オレは好きだけど」
「...うむ。俺も歌いやすい曲だと思います」
「ほ、ほんと！？」
ホッとしたのも束の間で、その後次々に上げはじめたみんなの表情はなんとなく微妙な感じだった。
「少しポップ過ぎるのではありませんか？」
「...了解。他にもなんか歌いにくいところあったら言って。そしたら手直しするから」
それならみんなも歌いやすくなる！と、残りの人たちに向けてそう言ってしまったのが間違いだったのかもしれない。
ーーー
「あー、もう！だったら自分たちで作曲しろってのーーー！」
髪の毛をぐしゃぐしゃとかき乱してそう叫んでも、事が解決するわけもなく。机に広げている訂正された楽譜とにらめっこする。
「...こんなのわたしの曲じゃない」
みんなに言われたのを訂正してみると、春ちゃんの書きそうな曲調になった。しかも、結構いい曲になってるってところがまた悔しい。
でも、こんなことしてるんだったらわたしがいる意味はないと思う。...だったら作曲家なんて要らないでしょ。
作曲家がいるんだからみんなには頼って欲しいっていうか。任せて欲しいっていうか。
「...どうしたらみんな認めてくれるんだろう。作曲家が違うんだから曲が違って当たり前なのに」
誰に言うのでもなく一人、部屋でポツリとそう呟きながら机に突っ伏すと、余程疲れていたのか意識がどんどん遠のいていった。
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ユリア(プロフ) - 環様、お話読ませていただきました！主人公と嶺ちゃんの関係性がどんどん変わっていってどうなるか分からず、ドキドキしました❤これからも応援してます(^▽^)/ (2023年3月20日 18時) (
レス) @page29 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 朝倉ひなさん» 朝倉ひなさん！ そうだったんですね......（ ; ; ） そんな言葉を言ってくれる人が身近にいるなんて羨ましいです！！（笑） 心のこもったあたたかいコメントありがとうございます^ ^ とても幸せな気持ちになりました！！ (2017年10月16日 22時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
朝倉ひな - だから、嶺ちゃんに、君が必要、と言われた夢主ちゃんは、そこに存在意義を感じただろうし、それが何よりも幸せだと思います。こんなにも共感でき、メッセージ性のある夢小説を読むのは久しぶりです。これからも頑張ってください！ (2017年10月16日 21時) (レス) id: 35a6a0831a (このIDを非表示/違反報告)
朝倉ひな - 泣けちゃいました。私もすごく似たような立場だったので。ずっと私は、必要とされていないと思ってたんです。でも、ある人に、顔とか性格とかも好きだけど、お前を好きになった理由の一番はお前だったから、と言われて、泣きそうになりました。 (2017年10月16日 21時) (レス) id: 35a6a0831a (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - コメントありがとうございます！ そして返信遅くなってすみません！ 私も努力家の女の子の方が応援したくなるし、素敵だなって思います、、！！ 今回は春ちゃんが悪者っぽくなってしまいましたが、次に機会があれば春ちゃんの良い場面も書いていけたらと思ってます！ (2017年10月8日 23時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：環 | 作成日時：2014年4月25日 18時
