親愛なる狂気たちへ【石田三成大谷吉継島左近】～番外編～ (ページ1)

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【番外編】佐和山城怪綺談ページ1

近江、佐和山城の屋敷。
庭に植えられた木にしがみつく蝉たちは、鳴き止むことを知らない。

彼らのせいで蒸し暑さが倍増する。

「あっちぃぃー！」

団扇で自分を扇いでいた左近は、縁側で水撒きをしていたAに声を上げた。

「A、今の時間帯水撒きなんかしたら余計に蒸し暑くなるぞ！」

「え、そうなんですか？」

昨日女中がやっていたので、どうやらその真似をしていたらしい。
しかし日中のむわむわとした気候では湿度が上がり余計に暑くなる。

左近に指摘されたAは、頬を伝う汗を拭いながら植えられていた木に残っていた水をぶちまけた。

「ってかすっげー暑いんだけど。なんか涼しいことしようぜ」

「涼しいことですか？」

「団扇じゃなんの役にも立たねーし。なんかもっとこう、ひんやり出来るようなことないかな」

「ひんやり……あっ！」

Aは何かを閃いたようだ。

「え？何？なんかいいこと思いついた？」

「はい！三成様たちもお呼びして怪談話でもしましょう」

「あー、なるほど。確かに怪談話なら涼しくな……か、かかか怪談話！？」

「よし。そうと決まれば三成様と刑部をお呼びして参りますね」

「待って！待ってA！俺無理！俺マジでお化けとか無理だから！」

左近の叫びも虚しく、Aは水撒きに使用した柄杓と桶を置いて、三成と刑部を呼びに向かった。