第二百九十九夜 金属音 ページ20
〜ジャーファルside〜
彼女の笑顔が見たくて、私は彼女とある約束をした。
━━━━"笑えないのなら、手伝ってやる"と。
彼女は目を見開き、"ありがとう"とただ一言私に言った。
だが次の日、シンの暗殺が決まった。
私は彼女にそのことを話した。
彼女は『無事に帰ってきてね』とただそう言った。
……━━━でも私は、彼女の元に帰ることはなかった。
***
「………はぁ」
何度目か分からないため息をつく。
今思えば、私はとても最低な人間だったと思う。
組織を抜けられるからと下っ端との約束を忘れ、シンに着いていった。
もしユユが本当に下っ端だったら、私がユユに嫌われているのも頷ける。
約束を破った人間なのだから、許しはしないだろう。
……だが、どうしてユユは自分が下っ端だということを黙っていたのだろうか。
正体をばらし、私に一生の後悔を植え付けるのだって出来たハズだ。
だけどユユは、それを言わなかった。
ましてや、その人物は死んだなどと言ったのだ。
………ねぇユユ、本当に貴方は彼女なんですか？
私は、本当のことが知りたいです。
***
〜Noside〜
木から降り、上手く王宮に侵入したゼインは紫獅塔の廊下を走っていた。
廊下は誰もおらず、蝋燭すら灯っていない。
「(なんだ？やけに静かだな…)」
疑問に思いながらゼインはシンドバッドの部屋まで足を動かす。
足を進めているうちに豪華な扉が見え、ゼインはすぐにそれがシンドバッドの部屋だと分かった。
扉を押すと、それは意図も簡単に開き、キィ…と音を立てた。
「(……まあいい。シンドバッドを殺すことができれば、この国は終わる)」
懐から毒が塗られたナイフを抜き、シンドバッドが眠るベッドに近付いた。
「(八人将とやらが居るらしいが、どうやらそんなこと心配せずに殺すことができそうだ。
……結構簡単じゃねぇか。国王殺し)」
ゼインはシンドバッドの顔を覗き込む。
そこにはすやすやと気持ち良さそうに眠っているシンドバッドがそこにいた。
ゼインはゆっくりとナイフを持ち上げる。
「(死ね！！シンドバッドッッ！！！)」
ガキンッ
振り下ろしたベッドの先から、聞こえるはずのない金属音が聞こえた。
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ロータス蓮(プロフ) - 突然失礼します。作者様は私を悶えさせながら泣かせる天才か何かですか…？好きです (2021年6月30日 14時) (
レス) id: f03dadf55f (このIDを非表示/違反報告)
花舞花音(プロフ) - 厨二乙さん» いえ！こちらこそいつも素敵なお話をありがとうございます！ (2016年3月13日 8時) (レス) id: da6eceae08 (このIDを非表示/違反報告)
厨二乙(プロフ) - 花舞花音さん» 全然大丈夫です！素敵なイラストありがとうございます！ (2016年3月13日 7時) (レス) id: a105ecbf82 (このIDを非表示/違反報告)
花舞花音(プロフ) - 厨二乙さん» 構いませんよ！描くと言ってから日数があまりにも空いてしまい本当に申し訳ありませんでした！(;＞人＜;) (2016年3月13日 0時) (レス) id: da6eceae08 (このIDを非表示/違反報告)
厨二乙(プロフ) - 花舞花音さん» ありがとうございます！絵を載せてもよろしいでしょうか……？ (2016年3月12日 18時) (レス) id: a105ecbf82 (このIDを非表示/違反報告)
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