【マギ】弱くてニューゲーム

こんなプレイは望んでいないのですが ページ4

足枷(あしかせ)を自分の力で砕く方法を私は知らない。今の私に前のような力があったら簡単なことなのだろうけどそんなもしもの事に希望を託す(たくす)ことがどれだけ意味のないことか私は知っている。

じゃらじゃらと鎖は足にまとわりついて嫌な音をたてる。他の子よりも豪華なコレに気分が悪くなってしまいそうだ。宝石が埋め込まれていようが金で作られていようがこれが私の行動を制限するものだということに変わりはない。

たどり着いたこの世界で初めにジャミルに会った私は不運だ。まさしく不運だ。心で嘆くことしかできないとはなんてこった。

「本当にジャミルさんの趣味を疑っちゃうよね。モルちゃん」
赤髪の彼女は無表情で何も言わなかった。ただ、その足には私と同じように足枷をつけられていた。

心優しい彼女に会えた時、正直なところ私は泣いてしまいそうだった。見知った顔があるだけでも嬉しいものだ。…まあ、そんな彼女も私のことなんて忘れてしまっていたのだけれど(いや、この世界でのモルちゃんと私は今回が初対面であるからなにもおかしくはない。見た目が同じぶん非常にややこしいいんだな)

そんなモルちゃんは私が脱走しないようにする見張り番という立場。ここまで苦しいことはないよ。きっと足の速いモルちゃんにかかれば私を捕まえる事なんて造作もないのだ。そして鼻もきくとなってしまえば希望なんてない。アーメン私。

かつての大事な友達ちゃんから冷たい態度をとられるのに慣れていない私のガラスのハートは粉々だ。

「モルちゃんの目元は変わっていて素敵なのは昔から変わらないね」

またもや無視される私。泣いてやろうか。おらおら。

口説き文句すら華麗にスルーされてしまえば、私の胸は今日も痛むことをやめないよ。


ジャミルに用意された豪華な絨毯(じゅうたん)がひかれてふかふかのベッドがある、牢屋の中で私はこの矛盾に笑っていた。空を見る自由すら与えられないのに私は立派な服や食事をジャミルから得ているのは確かだった。


いやいやー…女の子()を完全に閉じ込めるジャミルさんの性癖って(笑)

ずいぶんと大事にされているようで。私。

好感度が現実でも見えたらいいのにね→←昔から運はすごぶる悪かった

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