【マギ】弱くてニューゲーム

元神様の独白 ページ22

さっきユナンが言ったボク達がきみの言う神様であり、弟であるのは全部本当。

ボクは神様として長い年月を過ごす中で、ずっと孤独だった。喜びも悲しみも全部が無駄であるような日々は重なり続け、ある日偶然にもきみを見つけた。幼いきみが弟に子守唄を歌っている声が聞こえた。ボクはきみのことがきっと好きだった。子守唄を歌うきみがあまりに優しくて、同時にボクの孤独を際立たせたとしても。

とにかくボクはきみと会いたくて、優しくしてもらいたくて、一緒に生きて欲しかった。だから強引にきみを神にしたてあげた。これがきみがこっち側の世界に来た顛末。こっちの世界を選んだのは単なる偶然。無数に世界はあって丁度都合の良さそうなところがあったから。

でも、結果としてボクは死ぬことになった。きみもそれは感じ取っていたと思うけど。ボクは人を愛すことが許されてなかった。きみを強引に人ではなくならせたけど、君は完全に心まで人じゃなくなることはなかった。まあ、そんなことできみをボクのもとからこっちの世界に飛ばしたボクは力尽きてお察しの通り消滅したはずだった。

ここから先はボクもよく分からない。ボクは新たに生を受けた。きみの弟として。記憶が戻ったのはきみの弟としてボクが死んだ時。だから、まあ、変な話だけどね。きみをかつて見つけた時、ボクはきみから惜しげも無く愛を与えられるきみの弟が羨ましかった。でも、羨望の先はボク自身だったという話しだ。

きみの弟として生を終えたボクはすべてを知ったけれど、もう神様ではなかった。流れに身を任せるまま今を生きている。逆らえない流れの中でボクの魂は二つに分断された。一つは神であった頃が色濃く影響されているボク、もう一つはきみの弟であった頃が色濃く影響されているボク。前者がユナンで後者がボク。

まあ、今のボクたちは世界の枠組みの一つになってしまったから今はそれを全うしている存在に過ぎないんだけどね。

「そして今ここに姉さんを連れてきたのは姉さんの念願である元のマギ世界に戻すためだ」

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