【マギ】弱くてニューゲーム

最後は笑顔で別れましょう ページ17

ジュダルの従者になってそれなりに時間が経った。毎日のように訪れていた彼が私の部屋に訪れなくなったのは少し前からだった。だから彼はもう私に飽きたのだろうと思った。だから今回の訪問に驚いたわけだ。

「よお」

いつも通りに見えるのにどうして沈んでいるようにも見えてしまうのだろうか。

「久しぶりですね」

「相変わらずだな。＿＿＿＿＿＿＿。」

ジュダルから言われたのはどうってことない、別れの言葉だった。



私とのやり取りを家族ごっこと称したジュダルは、唐突に私を手放すことにしたらしい。これでもジュダルとはなんだかんだ仲の良い…って言ったらおかしいけれど、悪くはなかったと思う。

飽きただとか、もうお前は必要ないとか散々言う割には言葉に棘があるとは思えなかった。

「買ってすぐ飽きるのも考えものですね」

わざとらしく溜め息をついてみせると、ジュダルも演技めいた様子で肩を竦めた。

「俺の勝手だろうが」

「では、最後に私からも一つ言わせてください」

最後、という言葉にジュダルは反応した。私が恨み言でも言うと思っているのだろうか。そんな風に身構えられたら、ちょっとした悪戯心が働くというものだがそれはまた今度。

「少しの間ですがありがとうございました。楽しかったです」

一人旅をするも紆余曲折。予想以上に時間を浪費してしまっていたことに焦りを覚える私に、日常らしい世界を与えてくれたこと。

私の言葉にジュダルは一瞬だけ瞳を揺らしたように見えた。が、それも辺りが光に包まれたことで見えなくなる。

目を凝らしてみると、魔法陣が展開されていた。私の知らないところで何かが進んでいるらしかった。

私は手を伸ばすも、ジュダルに触れることは叶わない。ジュダルが拒絶しているようだった。

「あっちの俺によろしく言っといてくれ」

聞く暇なんてない。私は今までジュダルに世界の話なんてしたことがなかった。酷く優しい、切なさを孕んだ声だった。戦いに赴く前の兵士のような、押し殺したような声だった。

光が瞳を満たす。

私はジュダルの前から消えた。

天然は二人揃ったら兵器と化す→←私は当て馬先輩派です

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