百五拾四、“答え”はその辺に落ちている ページ4
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そんな私情で仕事をしないわけにもいかず、さっき言われた書類を仕上げに入る
処理能力は我ながら鈍くはないと思ってるし、割と早くまとめ上げた
あれ私意外と事務作業に向いてるのかも、なんて思いながら廊下の角を曲がると、土方さんが前を歩いていた
そして、その腕の中からヒラリと書類が落ちる
本人はそれに気付かないらしくそのまま歩いていく
「土方さん、紙落としてる」
土「ん、ああ。すまん」
私が拾い上げて少し目を通してみる
「………“元幕府重鎮、不正献金疑惑”…?」
土「おい勝手に読むな」
「こんな事件近藤さんのとこには回ってきてないけど…極秘任務だったりするの?」
土「…ああ。俺とザキだけだ」
誰にも言うなよ、とため息をつく土方さんとそれに頷く私はやっぱりいつも通りで、少し安心する
気まずくはない
「この人、何やったの」
土「何人もの攘夷志士や部下を経由してそいつに大金が渡ってるらしい。どうにも正式じゃねぇ金の流れだ」
「そう…」
土「元とはいえ幕府の重鎮だから秘密裏にしか捜査できねぇんだよ。攘夷戦争時代は幕府の中でも過激派で、多くの浪士を始末する命を出したらしいがな」
「……………浪士を…始末…」
ドクン、と心臓が波打つ
“私は兄に剣を振るった姿形も分からない幕府の人間を、呆然と憎むことしか出来ないのに”
以前銀時に吐いたあの言葉が戻ってくる
見つけた
多分、いや、絶対にこいつだ
確証はないけど分かる
土「…おい、書類くしゃくしゃにすんな」
「………あ、」
思わずその紙を握りしめていたらしく、とりあえず謝っておく
「……………私も協力する。その件」
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作者名:ユコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oorsayui/
作成日時:2018年3月27日 3時