出会いは ページ7
謙杜side
それから彼女は、何日か置きにこの木にやってきた。
僕は彼女がいつ来るかわからないから、毎日この木に登って、あの赤色を探した。
彼女が来ると下の方の枝に降りて木陰に座る。
彼女が座る日向にはピンクと黄色の花束を置いた。
彼女はそれを見つけるとそっと拾い上げ、目を閉じて嬉しそうに微笑む。
その顔が、たまらなく好きだった。
彼女は特に何をする訳でもなく、木の幹に背を預けて空を見上げていた。
たまに、独り言のような、他愛ない話をして。
お父さんがまたお母さんに怒られてたの。
お姉ちゃんが2人を仲直りさせたんだよ。
恭平の家の猫を1匹うちにもらったの。
恭平は僕を認めてくれた、すごくいい人なの。
僕がなにかを返す訳ではなかった。
ただ、木の裏で話を聞くだけ。
それだけで、嬉しかった。
僕を怖がらないで話してくれて。
でも、たまに、胸の奥が苦しい。
…なんでかは、分からないのだけど。
福「謙杜最近ニコニコしてるよな〜」
…？
福「いやなんかさ〜顔が明るくなった！」
長「…明るく？」
福「そう！なんかいい事あったんだろ！！なんだよ〜兄ちゃんに教えろよ〜」
…兄ちゃん、凄いな！！
長「…えへへ。あのね、僕…」
和「ただいまー！！」
福「とおちゃん！！…わっ」
…ガツン
丈「は？これ、どしたん？」
和「た、食べれるかな〜って。森にいたから、」
丈「人間を！？」
…グサッ
丈「もう！人間には手出すなって言うたやろ！！！」
和「…倒れてたし」
丈「まだ生きとったかも知らんやろ！？」
和「…でももー息しとらんもん！！」
丈「なんや歯向かうんか？あ？？」
和「わーごめんなさい〜！！！」
それは、人間の子だった。
…あの子じゃ、ない。
福「人間…初めて見た…美味しそう…ね？」
あの子だったら
あの子でも、おかしくない。
長「…あ…え、」
その時見た兄ちゃんの横顔は、狼そのものだった。
長「…っ！！」
僕は、走った。
僕を呼ぶ兄ちゃんの声。
父さんに怒鳴る母さんの声。
ちょっとしゅんとしてる父さんの声。
全部全部、聞きたくない。
夢中で、あの木まで走った。
いつもあの子が座る場所。
木の幹に手を当てた。
長「…なんで…っ！！」
会いたい、
触れたい、
話したい、なんて
思わない。
かよわい君と狡い僕が
「出会う」
其れが、終わりだったんだ。
涙が溢れた。
止め方は、知らなかった。
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雪(プロフ) - つむ(^p^)**さん» ２年越しにありがとうございます！みちながって、やっぱいいんですよね…みちながバンザイ！！ (2022年4月14日 0時) (
レス) id: af20db7013 (このIDを非表示/違反報告)
つむ(^p^)**(プロフ) - 2年越しのコメント失礼します。みちながを漁っていたらとんでもない神作品を見つけてしましました…。生まれ変わっても愛し合う2人がほんとに天最高です…🥲💞きょへの一途な姿もとても良かったです！素敵な作品をありがとうございました！！ (2022年4月7日 16時) (レス) id: dc37b157ec (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - ちゃおちゃんさん» ありがとうございます…みちながよ永遠であれ (2020年12月25日 16時) (レス) id: af20db7013 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃおちゃん(プロフ) - ポロポロ泣きながら、最後まで読みました......みっちーが思い出してくれて良かった(T_T) (2020年12月24日 2時) (レス) id: 4b87ca8bd8 (このIDを非表示/違反報告)
ひまひま(プロフ) - 素敵な曲でした！ゆっくり雪さんのペースで投稿まってます。 (2020年4月23日 21時) (レス) id: 60918cfcaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪 | 作成日時：2020年4月22日 16時
