【黒バス】出会いはバニラの香りがいたしまして、チョコ派の私は少し口を尖らせます。Ninth (ページ20)

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「ありゃ。青峰こっちの携帯切ってやんのー。我慢できなかったってかッ！」

「高尾くん、余り大きな声で言うと青峰くんに―…」

横で二人の話し声が聞こえる。

多分いや絶対、青峰さんにも。

その証拠に端末の電話口の向こう側で彼の怒りに耐える声が聞こえた。

『…沢渡、無事だな。』

「はい、おかげさまで。」

『そりゃよかった。…まぁ向こうに行ってもいつも通りツンツンしてればやってけんだろ。』

「…それ私の事ですか。」

『ハハッ、沢渡以外誰もいねぇだろうよ。』

がすぐに切り替える青峰さんのいつもの声に皮肉気味に言ってやれば、彼はいつも倍にして私をからかう。

いつものやりとりが今はなんだか新鮮に思えた。

何故だろうか…、電話越しだからなのだろうか。

いや違う。

「青峰さん。…”さわわわ”じゃないんですか。」

『は？何、お前そう呼ばれたいのかよ？？』

「さっきから沢渡沢渡って、…あなたに呼ばれ慣れていないからなんだかくすぐったいんですけど。」

『……あぁ、そうだな。』

さわわわと彼が呼んでくれないからだ。

そんな私に大げさな程笑う青峰さんは何処となく嬉しそうで。

でも…悲しげだった。

ので、

・

『気をつけていけよ、…さわわわ。』

「ぉう。」

『おう！？？な、お前…タメ口！？反抗期か―…』

元気よく返事をしたつもりが驚いた様子の青峰さんの大声に、即座に耳をふさいだ私。

そしていつの間にか電話は切られていた。

多分、緑間さんあたりかな。

青峰さんうるさかったから。

そう考えるうちに、

そろそろ時間のようで。

「では、そろそろ時間です。」

「…飛行機、緊張する。」

「だぁーじょうぶだって！たまには俺にもそっちの情報教えてちょうだいなっ！」

微笑を浮かべた黒子さんのさしのべる手を私はゆっくりととった。