494話 ページ44
✩✩
あの日Aちゃんが歌った、最後の曲
あれは私に向けて…
「だったり、しないかなぁ…」
____
「Aちゃんって最近アイドル始めたんでしょ!?」
「私ファンになっちゃった!」
『茜色に染まる世界で ぽつり取り残され 君と二人♪』
「…!!」
(お借りした曲:タイムカプセル・莉犬様)
気がつくと、自然と涙が零れていた
『時 ドキ 過去から未来への 贈り物をしよう 遠い君へ…♪』
「っ…うぅっ…!」
『何十年何百年先 僕は君のことを忘れない…♪』
朔間凛月さんのバラード曲が好きで、今度はこっちに入れようって決めてたのに
いつの間にか私はAちゃんに票を入れていた
でも…結果は変わらなかった
「あいつ凄いな〜!わはは!あいつなら一人でトップぐらい目指せるだろっ♪」
「っ…分かってる。私がいらないことぐらい」
「いいや。少なくとも、アカリがあいつをこの世界に呼び込んだんだろ?」
どっしり構えて、さっきから朔間凛月さんにばかり票を入れて…
私は少しイラついた
もっと見てあげてよ
私がこのライブを"頼んだ側"だから、強く言えないけど…
「にしても、アカリは面白いこと思いつくな〜♪おまえはあいつのことが好きなのか?嫌いなのか?」
「好きだから、対決してほしかった。二人とも大好きだから、見たかった」
どっちが勝つのか
どっちが負けるのか
「…なぁアカリ。愛しのAちゃんとユニットを組むなら近いうちにしとけ。後からじゃ手遅れになる」
「そんなの、いつ言えば…」
「会いに行け」
「…!?」
「そしたらあいつは優しいから、手を伸ばしてくれるはずだ」
レオは私のことなんて見向きもせずに、ライブをぼんやり眺めながら話した
「柊Aは、そういう人間なんだろ」
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作者名:赤月 音 | 作成日時:2021年1月31日 6時