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ページ18

千鶴「んっ・・?」

眠りについていたはずの千鶴は感じた違和感にそっと意識を戻した。
ひしひしと肌を刺す様な鋭い殺気。
獣の様に純粋で原始的な殺意。
嫌に高鳴った心臓を宥めようと試みるが、その殺意を放つ者は千鶴の部屋の前で動きを止めた。
震える声で千鶴は、

千鶴「だ、誰ですか?」

と、声をかけた。
暫しの間、気が遠くなる程の圧迫感。
千鶴が目を逸らそうとした刹那、気味の悪い笑い声と共に白銀に光る白刃が彼女の目の前に立ちふさがっていた。

千鶴「っ!!」

羅刹「血をよこせぇええ!!」

叫ぶよりも早く彼女を襲った凶刃は千鶴の細い腕を掠めて空を切った。
ボタボタと音を立てて滴り落ちる血に羅刹は駆け寄ると、その狂った瞳を光らせて血を啜る。

羅刹「もっと・・、血を・・血をよこせ!!」

『足りない』と言いたげに羅刹は千鶴に刀を振りかざした。
絶叫に双眸を硬く瞑った彼女だったが、耳朶を打ったのは己を殺めようとしていた羅刹の叫び声だった。

羅刹「ぎゃあああ!!」

何が起きたか千鶴が思案していると同時に、羅刹の背を切った土方が声を荒あげる。

土方「こっちに来い!」

慌てて千鶴が土方の背後に隠れると、傷が塞がり始めた羅刹がヨロヨロ立ち上がった。
再び襲い掛かろうと態勢を構えた羅刹だったが、耳を塞ぎたくなる様な肉の切れる音と共に心臓を貫かれる。
ゴボッ、と言う水音を立てながら羅刹は絶命した。

土方「・・助かったぜ。」

土方が労いの言葉をかけた人物は向いの奥の部屋から襖越しに羅刹を斬りつけていたのだ。
既に納刀している彼は額に汗を浮かべながら小さな声で問いかける。

貴女「千鶴ちゃん、腕の怪我は・・」

千鶴「だ、大丈夫です!」

何かを後ろめる様な仕草で傷を隠す千鶴だが、大した傷でない事にAはホッと息をつく。
倒れた羅刹を見据えながら彼は懐に隠した変若水を着物越しに触れた。
禍々しい赤い瞳は光を失ってもなお、赤いまま。
死しても、この変若水を飲めば人には戻れぬらしい。
激しい悪寒に身震いすると、彼は膝を付き倒れた羅刹の瞼をソッと閉ざした。

原田「千鶴!」

そこへ騒ぎを聞きつけた新選組幹部が原田を先頭に千鶴の部屋へ駆けつける。
口ぐちに何が起こったのかを思案するが、その雑音は意外な人物によって阻まれた。

山南「申し訳ありません。
私の監督不行き届きです。」

血痕→←羅刹の気配



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岬鬼(プロフ) - 白夜さん» 白夜さん>なんだか、私のところで言う「エライ」に似てますね〜^^ 私のところも「エライすごい」で「とてもすごい」って意味になるんですよ〜 1mも積もる雪なんてお目にかかった事がないですよ! それだけ積もると、ちょっと怖いですね (2015年3月3日 19時) (レス) id: 6217ec00b2 (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - 姫百合さん» 姫百合さん>なかなか心の内を話さない主人公なので、ここまでくるのもなかなか大変でした(笑) 試練も二人で乗り越えてくれると信じてます!← なんにしろ、ここから最終章までが踏ん張りどころですね〜^^ (2015年3月3日 19時) (レス) id: 6217ec00b2 (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - 岬鬼さん» 「なまら」は確か[とても]という感じの意味だったと思うので「なまらスゴい」(とてもスゴい)という感じに… 私も行っててみたいものですw それくらいは積もるんじゃないですかね 私の家の庭は雪が積もっても放置しているのでいっつもスゴいことになっているんです;; (2015年3月3日 1時) (レス) id: dcc2cda9a3 (このIDを非表示/違反報告)
姫百合 - 何だかほんまにどんどん甘くなってきましたね〜^^試練があっても、二人なら乗り越えられるはずですよ♪← (2015年2月23日 12時) (レス) id: baac39ec53 (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - 白夜さん» 白夜さん>いえいえ、テストお疲れ様です^^ 「なまら」は聞いたことありますよ!使い方は分かりませんが汗 そうなんですか!でも、一度は雪まつり行ってみたいです^^ 積雪1メートルは軽く超えるイメージがあるんですが、本当にそんなに積もるんですか? (2015年2月21日 21時) (レス) id: 6217ec00b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:岬鬼 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2014年4月1日 23時

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