救いの両手を差し伸べられるなら。２

救いの両手３４ ページ11

「じゃーん、私はこんな物を購ってみました！」

一葉さんは幾つか手に持っていた紙袋の中の一つから、少し大きめの箱を取り出した。


『わっ、マグカップですね……！可愛い』

「Aさんが黒猫で、私が白、銀が灰色ですね！色違いが有ってよかったです」

「有難う、御座います」



『嬉しいです！有難う御座います。調度欲しかったんですよ、前のは割ってしまって……』


「ふふ、ドンピシャですね」



そう冗談めかして笑う一葉さんは、普段の仕事姿とは打って変わって女性、と云うか女の子らしかった。



銀ちゃんもマグカップを見て嬉しそうに頬を染めていた。


可愛い………。芥川君が羨ましい。こんな可愛い妹が居るなんて。
きっと芥川君も銀ちゃんを溺愛している事だろう。


『じゃあ最後に私ですね。最初に云った通り、腕輪(ブレスレット)です』


もう一度袋を渡すと、今度は聢りと受け取って呉れた。


そして袋の中を覗いた二人の顔が綻ぶのを見て、私は安心した。


ああ、あれを選んで善かった。


「Aさん、これは…イメージカラーと云うやつですね！」


「可愛い……」

『はい、二人の色をイメージして購いました』


其々の頭文字が刻まれた銀のプレートが主体になっている腕輪(ブレスレット)。


パワーストーンも付いていて、とても可愛らしいデザイン。一目見てこれだと思った。


気に入って貰えて、本当に良かった。


そうして私達三人は、互いに交換した後も楽しく会話をし、其々別れ、帰路に付いた。


ああ、今日は本当に楽しかった。


友達は増えたし交換は出来たし。


いい事尽しだ。




また、こんな日が来ればいいと、願うのは莫迦らしいだろうか。

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