世界で一番 e ページ2
｢まだやってんの？｣
｢うん。このクエ終わったら、休憩する｣
Aさん、それ、さっきも聞きましたよ。
なんなら昨日もそれ、聞きましたよ。
｢それだけハマるなら、買っちゃえば？｣
｢んー、いや、いいや。えおえおの家でできるし｣
｢ああ……そーですか……｣
テレビ画面に釘付けな目は、今度こそ倒してやるという真剣な目だ。
ていうか、俺が買ったはずなのにAの方がプレイ時間が倍ぐらいだ。まあ、いいんだけれども。
｢あー！！！またアンジェラアキに殺られた！悔しい！！！｣
｢アンジャナフな。ご飯食べる？｣
｢うん！いやー、強いね。1人だとやっぱまだ難しい……｣
でもあの、いかにも恐竜です！！！って姿は格好良いよね、肩の毛はなんなんだろうなどと、カップラーメンを啜りながら嬉嬉として語っている。
元々はそんなにゲームは好きじゃなかったと記憶しているが、モンハンだけはどうもハマったらしく、前作も随分とやり込んでいた印象だ。
腕前はお察しだけれど。
｢ご飯食べたら、またやるの？｣
｢んー、疲れたし、まだ休憩するかなー｣
｢ん、そっか｣
おお、珍しい。昨日は丸1日やってたのに。
丸1日、アンジャナフ倒せてなかったのに。
｢次、えおえおやる？？｣
何かを期待したような、キラキラした目で見上げられる。そんな目で見られても、すげー技もプレイスタイルも、俺は持ってねえぞ。
お互い座ってるはずなのに、身長差があるからか、Aが俺を覗き込む形になっている。
てかこの顔可愛いなまじで。いや普段から可愛いんだけれども。
｢いや、いいや｣
｢え、なんで。やらないの？？｣
次はムッとしたふくれっ面。これもまた可愛い。
なんだそのへの字口。どうなってんだそれ。ちゅーするぞ。
｢うん。だってせっかくAがゲームやめたんだもん。もっと恋人らしいこと、しよ？｣
流れのままそう告げて、ちょん、と机の下で向かいに座るAの足をつつけば、ガタッと揺れて椅子から立ち上がる。
｢やっぱりモンハンする！！！ご馳走様お腹いっぱい！！！｣
パタパタと台所にカップラーメンとコップを運ぶAの耳は真っ赤だ。
はーーー、俺の彼女、可愛すぎませんかね？？？
いや、本当にもう世界一可愛い。
絶対本人には、言わないけどね。
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