React of the Queen. IV【あんスタ】

20 - 6 ファントム ページ14

.







「…少々、自惚れても良いのなら」






小さく、ぽろりと呟いた。


彼女が去っていったstage袖の通路をただじっと見つめて。






「…お姉さまは、自分の存在価値を証明したいわけでも、

ただこの1年を繰り返していたいわけでもない」






きょとんと丸い瞳が2つ、私を捉えた。


″わかる人″にはわかる。

″わからない人″にはわからない。






「こんなとこで皆して何やってんの…？」






歩いてきた2人も、異様な雰囲気に怪訝そうな顔をした。






「…お姉さまは、私達を愛してくださっている


…………だから」





「…何が『だから』なのォ…？」






頭に入ってくるのは、不協和音。



噛み合わない会話。






「……、スーちゃん、まさか」




「…、変えるべきは未来、か」






驚きと戸惑いが混ざった表情の凛月。

難しい顔で黙ったレオ。






「…ねえ、だから、何の話…？」




「……返礼祭でレオくんのことは分かれた気がする


…それでも、まだ俺には何かわかってないことがあるの？」






私達はKnights。


昔は個人主義がmottoで、まあ今も変わりはしないけれど

でも今は、その個人主義も良い形になりつつある。




5人。いいや、6人。

何処ぞのheroとは言わないが、私達全員揃ってこそのKnights。




それは今時、何処のunitも同じだろう。






「…leader、凛月先輩

鳴上先輩、瀬名先輩」






私にだって、わからない。


まだ16の若造が″世界″について語れることなど何もありゃしない。






怪訝そうな顔の凛月を横目に、手を握った。


掌が、湿っている。






「この際、お話ししておきたいことがあります」





脳裏に焼き付いた、悲しい涙を無駄にしないように。




涙は、決して無駄ではない。


未来への、必要な糧なのだ。






「鳴上先輩、瀬名先輩



私達は、知らなければならないのです」






怪訝そうな2つの顔。

話についていけなくて、ただひたすら黙っている。


私も彼らと何ら変わりはないのだけれど。






「この世界の、愛を」







愛と聞いて、色んな表情が伺えた。







「そして、明日


…突然ですが、お兄さま方、お姉さまが宜しければ
１日司の我儘に付き合ってはいただけないでしょうか」







誰も苦しみは望まない。


欲するのはただ、愛なのだ。







私は小さく笑って、『着替えましょう』と、小さく告げ、

漸く、美しい″夢の世界″に背を向けた。







.

Story 21『 Meteor shower 』→←20 - 5 鳥籠

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す