剣と誓いと ページ42
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風に吹かれ、カーテンがふわりと舞う。
日は徐々に傾き始めていて、秋になって昼の時間も段々と短くなっていた。
鞄に入っていたピアノの楽譜を台に広げ、椅子に腰を下ろす。
一人じゃ少し大きすぎる椅子だった。
「……、」
ぱっと見で、見たことない楽譜でも大体は弾ける。
楽譜には、可愛い文字で色々とメモ書きがしてあった。
冷たい鍵盤に触れ、1音、鳴らす。
久々に弾いた、わけでもないのに、自棄に懐かしい感じがする。
それを始めとして、何となく、思うがままにピアノを弾いた。
扉が僅かに開いて、閉まる音も
カーテンが風に扇がれる音にも、気をとられないくらい。
一人でただ、ピアノを弾き続けた。
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徐々に暗くなる音楽室の明かりはついていない。
ピアノの鍵盤も、徐々に見えづらくなった。
でも同時に、ぼんやりとした明かりが手元を照らす。
不意にピアノの手が止まり、空を見上げた。
時計の針は、さっきよりも1時間進んでいた。
「……、月、」
しん、と静まり返った音楽室で、それはぼんやりと此処を照らす。
その月に向かって手を伸ばした。
でも、何も起こらない。
───…起こるわけ、ないか。
目線を下ろし、立ち上がる。
すると不意に、ピアノの奥で光った何か。
その瞬間、また頭痛と共に甦る声。
──これで一生、忘れないね
月の光に導かれるように、俺はピアノの反対側に回って、それを手に取る。
銀のチェーンに、小さな剣と、リング。
──私が王冠で、凛月が剣
────女王様と、騎士みたいだね
それを掴んで、鞄もひったくるように掴んで、
窓を開けたまま、ピアノも、開けたまま。
音楽室を駆け出して、廊下を走る。
「……っ…、……何これっ…
わかるわけ、…ないじゃんっ…」
走りながら電話を掛けると、意外とすぐに出た。
『…ようやく、分かった？
……泉ちゃんも、もう思い出したわよ』
「…なんでこんなに、遠回りなやり方なのっ…？
……すぐ教えてくれればっ…」
『…”私達とあの子を繋ぐもの”
それが、記憶の鍵
それがないと、私達の記憶は一生戻らない、なんてね』
「……どうでもいいけど…！！
今、いるんでしょ…っ？」
『ええ、皆いるわ
あの子もね』
それは、意外と俺達の近くにあった。
時間は、かかっちゃったけど
時計の針は、漸く繋がる。
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まひる(プロフ) - 朔さん» 長かったのに最後までありがとうございました(/´△`＼)そう言っていただけると本当に嬉しいです！新作も是非読んでいただければと思います(*’ｰ’*)ﾉありがとうございました(人*´∀｀) (2019年8月1日 21時) (
レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - 最終章までお疲れさまでした。最初から最後まで楽しく読ませてもらいました。内容もしっかりしてて読んでて凄く楽しかったです！新作、楽しみに待っています！ (2019年8月1日 19時) (レス) id: ba31d19644 (このIDを非表示/違反報告)
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