4 - 3 ルール ページ25
.
明るい光で目を細めた。
隣の彼はもう起きていたようで
起き上がると笑って頭を傾けた。
「…おはよぉ、A」
「……おはよ、…凛月」
「眠そうだねぇ…」
そういう凛月も、夜の元気が嘘のように
欠伸をして、眠そうな目を軽く擦り、椅子から立ち上がる。
「…、どこ行くの…？」
「…どこって、…授業だけど…？
A、一応言うけど…
今、3時間目が終わるところ」
ぼーっとした頭が、徐々に目覚めていく。
「…、…え？」
サボりに驚いてる訳じゃない。
サボりなんてしょっちゅうやっている。
威張って言うのもなんだけど。
凛月が、起きているにも関わらず
起こして授業に行かなかったのか、と不思議に思ってみたりもしたが
凛月の性格からして授業は、自分から進んで行く、程のモノではないんだろう。
「…ごめん
起こしてくれて良かったのに」
そう言うと、凛月は首を振った。
「…授業は行きたくなかったし、別にいいよ
午前中の教科、教科書も持ってきてないし
それよかAは大丈夫なの…？
教科書、ないでしょ」
「私は…、大丈夫
教科書全部持って帰るほどいい子ちゃんじゃないから」
きょとん、とした凛月は後に笑って言った。
「…Aのそーゆーとこ、俺は好きだよぉ」
「……え…？
…ありがと…？」
「どーいたしまして」
ふらふらと歩いていく凛月についていく。
階段を上る最中、何人かに声をかけられては笑顔を貼り付けて。
「あ、A、くまくん
あんたら一緒にいたわけぇ？
なら尚更どっちかは返事してよねぇ？
先生に朝から問い詰められたんだけどぉ
しかも4時間目からって、どーゆーことぉ」
「…泉、おはよ」
「セッちゃんおはよぉ」
「はい、おはよぉ…
……って聞け」
階段の途中で話している最中
水色の髪の彼が傍を通り過ぎた。
校内にいるのは珍しい。
濡れていないのも珍しい。
目線をこちらに僅かに移して、
何事も無かったかのように通りすぎていく。
”彼ら”と私は、”演者”の前では赤の他人。
「A？どうかしたのぉ…？」
首を振って、繕った。
「ううん、何でも
行こう、泉」
「またねぇ、セッちゃん、A」
”非演者”であれど、『シナリオ』を変えないよう演じる義務がある。
何があっても、それを”非演者”は全うしなければならない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 245人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
