3 - 4 おまじない ページ19
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「最近ボクたちに関わりすぎなんじゃなイ？
渉にいさんも宗にいさんも話したって聞いたヨ？」
「…、渉と宗の所には行ったけど
夏目と会ったのは偶然」
そう言って横目でサイリウムを眺めると
『夏目』は笑って言った。
「姉さん、あの明かり好きだよネ
その気持チ、わからなくもないけド」
窓枠に腕をのせ、夏目も風に吹かれながら外を眺めた。
窓から距離をとって、同じく背後からそれを見て。
「…好きだよ
一番好きなのは、…あの子達の色だけど
……さっきのは、…やっぱり足らないな」
赤、青、黄、緑、紫。
5色のサイリウムが目映く光った。
「…奏汰にいさんダ
……素直に出たんだナ、珍しイ」
「…奏汰は、千秋くんに頼まれれば行くからね、ちゃんと」
「…渉にいさんが退屈してるヨ
…生徒会長は疲れてるんだろうけド
……今回”も”Trickstarだネ
なんて見る甲斐のなイ、少しは変わった動きをすればいいの二
……まア、Trickstarが勝たなきゃ『シナリオ』は大きく狂っちゃうからネ
…味気ないけド、これが一番良い『シナリオ』だヨ
姉さんもそう思うだろウ？」
ぺらぺらと、夏目は喋る。
彼は制服のままだった。
「…Switchは？
出なかったんだもんね」
「…ボクはこういうのに興味がないからネ
SSの称号が欲しくてアイドルやってるわけじゃないシ」
そう言った夏目は、窓に寄りかかったまま笑って、こう告げた。
「…姉さんも楽しみなヨ
もう『シナリオ』なんてわかりきってるけド
それト、少し変わったくらいで動揺しちゃダメだヨ
変わったら変わったで楽しめばいイ
変わった先に何カ、この問題の糸口が見えるかもしれないんだかラ」
手を取って、付け加えるように言う。
「ボクは姉さんをずっと見てるけド
いつでも助けられるわけじゃなイ
ボクたちに頼りすぎてもダメだヨ
ボクと姉さんは本来、少しも接点がない者同士なんだかラ」
自力で立って、夏目は去り際にこう言った。
「あア、それとネ、『シナリオ』に縛られ過ぎない方がいいヨ
変えすぎてもいけないけド
…少しは変える覚悟がなきャ、姉さんの望みは絶対に叶わなイ
これは姉さんにボクからのおまじなイ
叶うといいネ、姉さんの望みモ、愛し子達の願いモ…♪」
なんだか甘い香りがしたそのおまじないは、よくわからないうちに終わった。
気付いた時には
手の震えも、不思議と止まっていた。
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