11話 ページ23
あの後、結局何本か恋愛映画を見たけどいまいちピンとは来なかった
悠仁くんも私も、時々殴られたり噛まれたりで観終わった後は二人ともズタボロになっていた
「呪力、抑えられるようになんなきゃ」と顔を合わせて笑った
「あ、やばっ結構時間遅くなってたんだ!ごめん、私戻るわ」
「応!送っていけなくてわりぃな」
「送ってもらうほどの距離じゃないよ」
「また明日」と挨拶して、パタリと閉めた扉の音がやけに響き、外に出ると時間が遅いのもあって月や星が綺麗に見えた
「“Aちゃん、お月様きれいだね”」
「“今度、一緒にいこうね”」
小さな男の子
優しくて、あたたかい手
気付けばバイバイと手を振ることもなく、また会うこともなくて、君のことを忘れて家の中にいた
なんだろう?これが忘れてる記憶?ただ思い出したいって妄想?
「やっぱり、わかんないや」
自分の部屋まで奥底に眠る記憶を引っ張り出そうとするもだんだん分からなくなる
ふっと顔を上げると部屋の前には誰かが立っていて、無意識のうちにポシェットに手を掛けた
「……っだれ?」
「おかえり」
「あ、恵くんか……」
見知った顔にほっとして、ポシェットから手を離しパタパタと近寄った
「どうしたの?こんな時間に……
もしかして、何かお話あった?来るなら連絡くれれば」
話している途中でぎゅっと抱きしめられ、戸惑う私とは逆に「良かった」と安堵の声を洩らした
「心配してくれたの?ごめんね?」
「いや」と言って離れるとフードが外れてしまうと、恵くんが目を見開いていた
「これ、どうしたんだ?」
「え、あ……」
悠仁くんと呪力を一定量流す特訓してたとは言えないし……
「俺に言えないことなのか?」
「そういう訳じゃ……」
「じゃあなんだ」
ジリジリと詰め寄られ、壁に手を縫うように押さえつけられた
だんだん低くなる声に身を縮こまらせた
「恵くん……っ。こわいっ」
必死で声を振り絞ると「わりぃ、頭に血が上った」力強く握られた手首をみると何処と無く赤くなっていた
「ちゃんと、ちゃんと説明するから怒らないで」
頷くのを合図に家の中に招き入れた
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作者名:ゆきはな | 作成日時:2021年4月27日 22時