勘違いから拗れる仲/1(side凛月) ページ37
「ニーナっ」
「ふぇっ!?….…もう、凛月先輩っ!」
廊下で見かけた彼女に飛びつくと、彼女は頬を膨らませて振り返る。「驚かさないでくださいよぉっ」と俺をぽんぽん叩いてくる様子は、どこぞのプロデューサーと比べたら女子力が高すぎた。まったく、Aも見習ってほしいよねぇ。
ま、この子みたいに厚化粧で香水キツイのは願い下げだけど。最近匂いがさらにキツくなってきて、俺がコーギーだったら間違いなく鼻ひんまがってる。
「ねえ、……ニナ?」
「なんですか、凛月先輩?」
こてん、とニナは首を傾げる。ご丁寧に、頬に人差し指までそえていた。うわ、あざとい。ぶりっ子は、あんまり好きじゃないんだよねぇ。
「ニナ、香水つけてるでしょ」
「はい。……くさかったですか?」
分かってるなら止めればいいのに。
「ううん、そういうわけじゃなくて。俺、前の方が好きだったなぁ、って」
耳元で囁くと、彼女は嬉しそうに頬を紅潮させた。ただしくは、「前のがマシ」だけど。もう牛乳石鹸とかでいいんじゃない。
「凛月先輩、くすぐったいですっ。そうですか?えへへ、なら明日から変えてきますね」
「うん、それがいー………」
「それ」を見つけた瞬間、俺の動きが全停止した。
「凛月先輩?」
不思議そうなニナの声が飛んでくる。よし、落ちついて俺。現状を整理しよう。
俺は今、ニナに後ろから抱きついている。つまり密着度100%、ついでに全力で演技をしていたから、はたから見ればかなり良い雰囲気だろう。…なら。
……ーその場面に出くわした兄者は今、どういう気分なのだろうか。
うっっっっっわ。一番会いたくない人に会った。タイミング悪すぎるでしょ、記憶を飛ばしたい。
今まさに廊下を曲がってこようとしていた兄者は、俺たちを見て固まっている。なんでそんな目見開いてんの、怖い。
あと、手に持っているトマトジュースのパックをびっくりしたからかなんなのか握り潰していて、無残にも赤い液体が溢れ落ちていた。
「あ、朔間先輩っ!」
俺の目線に気がついて、ニナは俺から離れると兄者の元にかけよった。
「朔間先輩、おは……きゃっ!手、手がっ!大丈夫ですか!?」
大丈夫もなにもジュースだから、頼むからほっといて。兄者はさっさと消えて。
オロオロするニナに、ようやく我に返ったのか、兄者は視線を手に落とす。「……ああ」
思ったより冷静な声だった。良かった、落ちついて……
「これは汗じゃ」
………てない。
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紅茶が凍っちゃった - 今28話なんですけど、アスターの花言葉に信じる恋っていうのがあって死ぬかと思いました… (2022年12月30日 12時) (レス) @page28 id: 4e52f11739 (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - まだ途中ですが、leaderと草食べるのところで盛大に笑ってしまいましたwww最高ですもう、アメイジングさらっと言っちゃう主人公ちゃんも面白いですwww (2017年8月14日 2時) (レス) id: 9cb245a304 (このIDを非表示/違反報告)
もっちり兎(プロフ) - チベットスナギツネで検索かけてしばらく爆笑してました。面白くて、大好きです!(この小説がです!) (2017年6月12日 22時) (レス) id: e54c16753f (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - 匿名さん» ご指摘、誠にありがとうございます。つきましては、お手数をおかけしますが改悪だと感じられる箇所をお教えいただけると変更しやすいので、お教えくださると幸いです。 (2017年6月10日 21時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 二次創作の裏切りはキャラの改悪につながり、原作のイメージダウンとなりうる可能性があります。なので作品のパスワード保護、または改悪部分の変更、又は作品の削除をお勧めします (2017年6月10日 19時) (レス) id: 41b9136f09 (このIDを非表示/違反報告)
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