【イナイレ】 君の笑顔が見たいから 【風丸一郎太】

feeling.7 master ページ9

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貴｢…今日は､変な日｡｣

僕はそう呟きながら階段を下っていく｡

僕の言う"ﾏｽﾀｰ"は､大体地下で過ごす｡

其所で僕らの言う､仕事をするのだ｡


ーｺﾝｺﾝ

ーｶﾞﾁｬ

貴｢只今帰りました､ﾏｽﾀｰ｡本日の仕事は…｣

マ｢おぅっ!帰ったか｡

どうだ?ｻｯｶｰ部､面白い奴居るだろー?｣

奥にはﾏｽﾀｰがいる｡

ﾏｽﾀｰの名は､紫音｡黒髪に赤い瞳で､全身を黒で覆っている｡

その容姿からは想像も付かないほどに､明るくお気楽な性格なのだ｡


貴｢ー…面白い人が､沢山います｡

さっきだって､僕を笑わせるとか言ってたし｡

変な人…ばかり｡でも心の奥底では楽しんでいます｡｣

マ｢そっかー｡笑えると､いーな!そいつらならお前を笑わせてくれるだろ!｣


貴｢どうでしょうか｡僕の涙はもう枯れました｡

どんなに頑張っても､過去は塗り替えられませんから…｣

マ｢そういう考え方が悪いんだろー?

現にお前は笑おうとしてるし｡｣

もう日常茶飯事になったこの会話｡

もう慣れっこで､いつも通りの返事をするけれど｡


今日は違った｡


『笑いたいときは笑って､泣きたいときは泣いていいと思うよ』

『現にお前は笑おうとしてるし｡』


僕の心を見透かしたように｡
二人が僕へ贈った言葉が甦る｡

僕は今､泣きたいのだろうか?
笑いたいのだろうか?


自分で自分が分からないなんて…

マ｢お?反抗しないなんて何かあったなー｡｣

貴｢…僕､少しおかしくなっちゃったかもです…｣


マ｢…へぇ｣

耳に残ってるあの言葉｡


笑いたきゃ笑えばいい…って｡

僕の場合はそうはいかないんだよ…

色々考えるのはもう疲れたな…

マ｢笑うのは楽しい｡泣くときは悲しい｡

誰かを想うときは､辛かったり嬉しかったり｡

面白いと思えば笑うときだってある｡気になるときは目で追ってしまうこともある｡

人間ってのは､そんな風にできてるんじゃねーか?｣

貴｢…そういう､ものですか｣

ﾏｽﾀｰが感情豊かだから思うことだろう｡

僕はまだ､不完全…｡感情など､分からない｡

真っ赤なあの日｡

僕は泣き叫んで､叫んで泣いて｡挙げ句の果てに涙はそこで不思議なほどに出なくなり

笑ったりした､なんて｡あの日より前でも､指で数えられる位だし｡

誰かを想う､なんて｡その"誰か"がそもそも居なかった｡


ーー心の灯火に｡ーー

ーーまた炎を灯せるのならばーー

君は炎を灯してくれるのかな…

∝∝∝
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