この国に魔法をかけよう。 (ページ9)

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前途多難すぎて笑うしかない。ページ9

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｢さっきのすっげーッスね！！｣

金色の夜明け団とは別れて宝物殿を目指す。目的は同じなのだから別れなくても良い気がするが、金色と暴牛の差を見せつけたいらしい。

移動魔法が使えて？魔宮(ダンジョン)の構造まで把握してて？

その時点で私達は金色に負けてる気がする。

｢そういえばアナタ…魔導書(グリモワール)はどうしたのよ！？｣

｢無いけど？私の魔法は滅竜魔法って言ってね、元々は竜迎撃用の魔法なんだよ。自らの体を竜の体質へと変換させる太古の魔法(エンシエントスペル)。｣

｢そんな魔法…聞いた事ないわ。｣

｢そもそも私、クローバー王国の人間じゃないしね。フィオーレ王国って所から来たんだよ。｣

フィオーレ王国って名も最近では聞かなくなった。と言ってもここ2年くらいの話だが。

｢…あ。｣

先頭を歩いていた私が急に止まるもんだから、後ろを着いて歩いていたアスタとノエルも不思議にどうしたのかと首を傾げる。

私の左足には罠魔法(トラップまほう)特有の術式が浮かび上がっている。

次には下から食人植物じみたモノが生えてくる。それを後ろに飛んで避けたまでは良かったのだが、着地した場所が悪かった。

｢やべ、トロッコ…！？｣

私が着地した衝撃で走り出すそれに為す術なんて無い。

｢うっぷ……吐く……。｣

｢A先輩！？｣

｢そういえば、乗り物酔いするとか言ってなかったかしら。｣

口を抑えて明らかにしんどそうなAを見て、ノエルはアジトでの会話を思い出していた。

｢いや、あれ…乗り物酔いの域超えてね？｣

とにかく、あの酔いっぷりは見ていて可哀想だ。先にそっちを助けてやろうと動いたアスタだったが、彼もまた罠魔法(トラップまほう)に引っかかる。

右には食人植物。前には何と形容したからいいのか分からない獣が2匹。強いて言うならば食人獣のようである。

｢ちょっと！1匹Aを追いかけてったわよ！！｣

｢A先輩ー！！｣

なんて2人の声を聞いてる余裕など、Aにはなかった。