次の日 ページ21
御幸君が帰った後、ジャージを返し忘れたことに気づいた。
明日返そうか、月曜日に返そうか迷って、結局明日もう一度学校に行って返すことにした。
ジャージが無くて怒られた、なんてことがあったら困るからね。
ちゃんと洗濯して、夜のうちに乾くように私の部屋のベランダに干しておいた。
身長はだいたい同じだけど、そこはスポーツ選手、ガタイが全然違うからだいぶ大きかった。
おかげさまでとても温かかったです、はい。
いろいろ終わってさあ寝ようとベッドへダイブしたものの、何故か全然眠れない。
カーテンの隙間から御幸君のジャージが見えるせいなのか、ついさっきまで御幸君と話していたせいなのか、はたまた御幸君に送ってもらったせいなのか。
いずれにせよ御幸君のせいだ。
明日会ったら文句を言ってやろうと、いろいろ考えていたらいつのまにか眠っていた。
朝、カーテンを開けるとジャージがあった。
一瞬びっくりしたけど、昨日のことを思い出して取り込み、丁寧にたたんで机の横に置いた。
それから下に降りて朝ごはんを食べた後、ちょっとした荷物を持って学校へ向かった。
グラウンドでは、今日も練習があっていた。
合宿明けなのに…大変だな…
グラウンドを見渡してみても、御幸君の姿はどこにもなかった。
ブルペンかな…？
私はブルペンを覗いてみた。
パァン！
｢わぁ…｣
私の目はキレイなフォームで投げる先輩…
…ではなく、御幸君に向けられていた。
こんな間近で見たの初めてかも…
すると、私の視線に気づいたのか、御幸君がちらっとこっちを見た。
御｢…え？｣
先｢御幸！よそ見すんな！｣
御｢あ、すいません｣
私のせいで怒られちゃったよ。
後でちゃんと謝ろう…
また何球か受けた後、御幸君と先輩はブルペンから出ていった。
休憩時間まで待つかな…
私はいつもの特等席で御幸君を待つことにした。
御｢速水！｣
｢え？｣
私がいつものベンチへ向かっている途中で、御幸君が追いかけてきた。
｢まだ練習中なんじゃ…｣
御｢ちょっとぐらい大丈夫だって。それよりお前どうしたの？｣
｢え？ああ、昨日ジャージ返し忘れてたから…｣
私はカバンの中からジャージを出して御幸君に渡した。
御｢…まさかこれだけのために？｣
｢え…まぁ、うん｣
御｢…サンキュ｣
｢それにしても、今日も練習って大変だね｣
御｢今日は午後からオフだよ｣
｢そうなの？｣
御｢だから…｣
御幸君はそこで言葉を切った。
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作者名：みゆき | 作成日時：2016年10月10日 0時
