こんにちは、お兄さん【衣更真緒】

８回目 ページ8

真緒さんと会って数日後、私は放課後に文房具屋に寄っていた

芽衣は卓球部の大会が近いこともあり、帰宅部である私一人での買い物だ



「(えーっと…あと他に何が必要だったかな)」



あぁ、化粧水とかも無くなってたんだった。帰りに薬局寄らなきゃ

必要な文具をカゴに入れていき、会計を済ませる

レジ袋有料なの地味に困るんだよね、エコバッグ忘れそうになるし

あとカバンの中に入ると思ってたら入らなくて結局手で持って帰るとかも前にやったな

自分の失敗談を何故か思い出してしまった、我ながら恥ずかしい


文房具屋から出ると、何やらポップな音楽が聞こえた

どこかで屋外ライブでもやっているのだろう

薬局って屋外ステージの方だったような気がするから、ついでに見て行こうか


歩けば歩くほど、それに比例して音が大きくなる

爽やかな青年の歌声が耳元をするりと入ってきた



「(見えない…)」



なんだか女子高生が多い気がするのは気のせいか

仕方がないので近くにあった階段を上がって上から見ることにした

カンカン、と音を立てて階段を上っていく、高くなった目線でステージの方を見ると口を開けて驚くこととなった



「ｴｯ」



キラキラのライトが輝くステージの上では4人の男子アイドルが歌って踊っていた

待って、なんか右端にめっちゃ見たことある人物がいる



「(真緒さん…)」



そうだと分かった途端、彼から目線が離せなくなってしまった

何一つ無駄のない動きに力強い声音が何より、私を興奮させた

ビリビリとした反響が足元を伝わって全身で感じ取る

何より楽しそうにステージの上でパフォーマンスをする彼に心臓が大きく波打ったのだ

すごい



「(すごいすごいすごい)」



聞いているこっちまで楽しくてその場で軽く足踏みをしてしまうほど

他のメンバー３人と息ピッタリでズレもなくみんな楽しそう

瞬きの瞬間すらも惜しくなるぐらい、私はその輝いている彼等を目に焼き付けた

９回目→←７回目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す