45回目 ページ45
”あの事”
その単語が何を示しているかなんて、私はとっくに知っていた
一度、脈打つ速度が加速してしまえば止まってくれない
「…はい」
足が震える
キュッと手汗でビッショリとしている拳を握りしめた
口から心臓が出て来てしまいそうなほど、私は緊張していた
聞いている側がここまで緊張しているとなると、真緒さんはどんな心情なのだろうか
そんなことを脳の片隅で考えながら、目の前に立つ彼を見た
息を少し吸った後、真緒さんは口を静かに開いた
「Aちゃんが好きです」
心臓が今日一番の大きな音を立てる
「今思うと、一目惚れだった」
小さく頷いて、彼の言葉をただただ聞いていた
「何度も紛らわしいこと言ってごめん」
”じゃあ、俺と付き合って”
いつかの出来事が瞳の奥で再生される
「…真緒さんはアイドルです」
そう言うと、彼は傷付いたような顔色見せた
私は前に似たような事を彼に対して言った
「あぁ…」
エメラルドの瞳に膜が出来る
私が口に出すたった数秒間だけで、これから先の事も、今までの事も変わってしまうと思うと口が重たい
それでも、彼は伝えてくれた
「アイドルの真緒さんには、沢山のファンもいて、大切なユニットのメンバーや沢山の友人もいて、居場所も沢山あります」
彼にあって私には無いもの、なんて言い出してしまえばキリが無かった
「私なんて、不相応だと思います」
あぁ、言いたいことが伝えられないのがもどかしい
そっか…。と苦しそうに眉を下げて笑う彼を見て、私は一歩前に出た
彼との距離が縮まる
「…それでも私は、
そんな真緒さんが好きです」
そう言うと悲しそうな瞳が揺れて、固まる
数秒間だけ呼吸も止まっていた
え、と糸のような細い声が聞こえる
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彩音(プロフ) - ひ〜〜めちゃくちゃどきどききゅんきゅんしました・・・。(語彙力なくてすみません) (2022年7月26日 14時) (レス) @page49 id: 25043c6aac (このIDを非表示/違反報告)
ことは - 真緒くん!梶さん!尊い! (2021年4月15日 18時) (レス) id: 1efa312b7c (このIDを非表示/違反報告)
めご(プロフ) - 空白猫さん» ありがとうございます(;_;)是非推してください〜!!評価もありがとうございます!! (2021年4月9日 23時) (レス) id: fec7c0a77e (このIDを非表示/違反報告)
空白猫 - 前半…「早くくっついて?」後半…「待ってこのカップル推せるわ」ってなりました…評価たくさん押しますね…神作だと思ったのでッ!! (2021年4月8日 11時) (レス) id: 10484fbbe5 (このIDを非表示/違反報告)
愛葉 - 半分本気です…(笑) (2021年2月28日 20時) (レス) id: bb433bc26e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めご | 作成日時:2021年1月2日 21時