検索窓
今日:29 hit、昨日:27 hit、合計:132,286 hit

39回目 ページ39

「いきなりごめんな」

「いえ…」



それから近くの公園に来た

昨日のことを思い出してしまい、何だか複雑な気持ちだが仕方がない

ブランコに私と真緒さんは腰をかけた


無言の空気が嫌だな、重たいな

足をふらふらさせていると鎖がギコ…と音をたつ



「…私に用ってなんですか」



昨日はあれだけ目線があったのに今は私が逸らしている

横から感じる視線も分かっているし、彼が今どんな顔をしているのかも知りたいけど顔が上がらない



「週末って空いてたりする?」



考えもしていなかった言葉に動かしていた足を止めた

え、と先程まで上がらなかった視線はいとも簡単に上がった

弾かれたように横のブランコに座る彼を見る

ようやく交わった視線が恥ずかしくてまた自分から逸らしてしまった

その事に何も触れず、また真緒さんが口を開く



「デートしよ」

「は、?!」



いきなりなんで?だなんて、言いたいことは顔に出ていると思う

いや、待ってなんで本当になんで



「と…とりあえず日曜なら、空いてますけど…」

「ん、ありがとう」

「こ…こちらこそ?」



心臓がバクバクと音を立てる

さっきまで胃が痛かったのに次は心臓がうるさくなった



「じゃあ、日曜日にAちゃんに告白するから」



ずるりと足が滑りそうになる

ゑ?



「い、今なんて」



思わず立ち上がって、驚いた顔色で横にいる真緒さんを見る

ようやくまともに目が合って、それが嬉しいのか目を細めて微笑んだ



「その時に、Aちゃんに告白するから」



ドクン、と心臓が痛いぐらいに大きくなった

ぶわりとすぐに顔が赤くなり手汗が酷くなる

告白って…

9割ほど考えることを放棄していた脳で考える

ホールでシンバルを鳴らしたのように何度も何度も脳裏で木霊する



「これ、俺の連絡先」



未だに棒立ちしている私に、真緒さんはブランコから立ち上がって1枚のメモをこちらに差し出した



「本当に嫌ならすっぽかしてくれて良いから」



私の手に一枚の紙を持たせながらそう言われる

悲しそうな真緒さんの顔色にハッとするが言葉が何も出なかった


彼はそのまま、私を残して公園を出る

風が吹いて、すり抜けそうになるメモ用紙を手放さないように急いで手に力を込めた

40回目→←38回目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (241 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
330人がお気に入り
設定タグ:あんスタ , 衣更真緒 , トリスタ   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

彩音(プロフ) - ひ〜〜めちゃくちゃどきどききゅんきゅんしました・・・。(語彙力なくてすみません) (2022年7月26日 14時) (レス) @page49 id: 25043c6aac (このIDを非表示/違反報告)
ことは - 真緒くん!梶さん!尊い! (2021年4月15日 18時) (レス) id: 1efa312b7c (このIDを非表示/違反報告)
めご(プロフ) - 空白猫さん» ありがとうございます(;_;)是非推してください〜!!評価もありがとうございます!! (2021年4月9日 23時) (レス) id: fec7c0a77e (このIDを非表示/違反報告)
空白猫 - 前半…「早くくっついて?」後半…「待ってこのカップル推せるわ」ってなりました…評価たくさん押しますね…神作だと思ったのでッ!! (2021年4月8日 11時) (レス) id: 10484fbbe5 (このIDを非表示/違反報告)
愛葉 - 半分本気です…(笑) (2021年2月28日 20時) (レス) id: bb433bc26e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:めご | 作成日時:2021年1月2日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。