204話 ページ7
｢今、スッキリしてるでしょ。心做しか、身体が軽くなったように感じるでしょ。｣
言われればそうだ。先まで感じられた醜い感情は私の身を離れ、どこかに消え去っている。
｢別に醜くはないんだけどね。人間誰でも心の奥底は、ああいう黒い塊でいっぱいなんだよ。｣
と、その少女の声は随分と落ち着いた声で、大人びたことを言う。全てを見てきたかのように。
｢あなたが終わらそうと、決着をつけようと行動に出た事は評価する。だけどその前に、あなたにはやらなければならない事があるでしょう。それが分からないことはないよね。｣
その声は強くて、否定することを許さないといったように、ズシリと私にのしかかった。
私がやらなければならない事...私は最善は尽くしてきた。
｢本当は分かっているくせに。｣
少女の声に、嫌な汗が流れた。
｢いつまでそうやって逃げるつもり？｣
体が固まって、声が詰まる。
｢母親からの虐待、父親の死、大切な人からの裏切り。...そうだね。辛いよね、苦しいよね。でも、いつまでそれから逃げるの？受け入れないでいるつもりなの？｣
核心を突かれた私は震える体を抑えて、震える声を抑えて、言葉を紡いだ。
｢あなたに何がわかるって言うの。私だってやれることはやってきた。それでも...｣
「分かるよ。」
その言葉に私はグッと息を飲んだ。
｢言ったでしょ。私はあなたなんだって。だから、全部知っているよ。あなたがどれだけ苦しんできたか、苦しんでいるのか。
あなたが苦しい時は、私も苦しいんだよ。
本当に決着をつけたいのなら、本当の自分で闘わないと。辛い過去を受け入れられない今のあなたが、彼女に勝てる訳が無い。現状を打破出来るわけがない。あなたこそ、いつまでも被害者面していちゃだめだよ。
終わらすんでしょう。覚悟を決めなきゃ。｣
意気地になって反発しようと試みるも、上手く言葉が出てこない。
｢あなたは充分頑張ってきたと思う。あなたは強い。だけど脆くもある。...大丈夫。あなたは一人じゃないんだから。｣
いつの間にか、私の目の前には一人の少女がいた。
｢あ...｣
それは紛れもない幼少期の私。
｢あんな暴力に耐えてこれた私でしょ？大丈夫、また乗り越えられるよ。｣
そう言って、無邪気な笑顔を残して、わたしは私の前から消えた。それと同時に、視界は再び明るさを取り戻した。
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彗(プロフ) - さっき読みはじめて今読み切りました。号泣です。素敵な作品をありがとうございました (2020年2月23日 1時) (
レス) id: cf7fdf27c9 (このIDを非表示/違反報告)
みのもんた(プロフ) - ぁ、、あぁ( ；∀；)愛ちゃん、、、うわぁぁああ(TTTTT□TTTTT)もぅいい話すぎますよぉ！！なんかもぅすごい引き込まれました！！泣才能ありますよ！！まじで！そーゆぅアニメ見たいですほんとに。ぁあー読み終わっちゃったのがすごく残念。。これからもファイトです！ (2017年10月22日 15時) (レス) id: fd2eec93e7 (このIDを非表示/違反報告)
すふぃ - あぁ、目からポカリが、、、、 (2016年10月23日 18時) (レス) id: 38e1760aba (このIDを非表示/違反報告)
夕凪*ﾟ - すごくいい作品で一気に読んでしまいました…!!本当に感動で涙がとまりません（ ; ; ）素敵な夢をありがとうございました!!! (2016年4月3日 1時) (レス) id: ca1c6f1dc0 (このIDを非表示/違反報告)
白雷(プロフ) - すごくいい！ (2015年8月22日 11時) (レス) id: 55569623d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑠璃瑚 | 作成日時：2014年2月28日 19時
