203話 ページ6
一体何なの。私をどうしたいっていうの。
｢苦しい？｣
どこまでも続く、見渡す限り、感じられる限り暗闇のその中に、突如として私とは別の誰かの声が聞こえた。
｢誰？｣
聞こえてきた声は女性というより、幼い女児の声だった。そしてその声を私は知っている。その声の持ち主が誰であるのか、私は知っている。
｢わたしはあなただよ。｣
だけどそんな事はあり得ない。
私はここにいるし、彼女はここにはいないはずだ。彼女はもう、この時の住民ではないのだから。
それでもしっかりと聞こえた自分に語りかける幼少期の自分の声。私の頭の中はぐちゃぐちゃだ。そんな私をお構いなしに、女児の声は語り続ける。
｢苦しくて当たり前だよね。だってあれは、あなたにとって最悪の思い出なのだから。｣
あれ、とは、今私が経験した不思議な現象、その時に魅せられた記憶たち。
｢あなたは自分の記憶を旅してきたんだよ。どうしてそんな事をすることになったのか、わかるよね？｣
わからない。ただの嫌がらせとしか思えない。
｢終わらせるんだよね。あなたがついさっき憎いと、許さないと思った彼女と、ちゃんと話をして、解決させるつもりなんだよね？｣
それは私が決めた覚悟だった。
この一連の出来事に終止符を打つ。そのために、私は彼女と対峙しなければならない。しかし、どうして知っているんだろう。
｢わたしはあなた、全部知っているよ。｣
さっきから言っている意味がわからない。あなたは私？いいや、私は私だ。
じゃあ、私はあなた？
｢そう、あなたは私。｣
何かが、パズルのピースがピタリとはまるような、そんな感覚が身を襲った。
｢もう終わりにしよう、A。私は今までよく頑張った。よく耐えたよ。今表にいる私もよく頑張った。だから、もう目を背けるのはやめよう。｣
表にいる私...
｢いつもの子だよ。と、言ってもあなたには分からないか。あの子が表に出ている間の記憶は無いもんね。｣
それ自体のことはよくわからないけれど、記憶が無いことに関しては心当たりがある。
ここ最近になって、何度か意識を失う事がった。目が覚めるとそこにあるのは、決して良くない状況だった。
｢今もまだ、彼女、彼らのことが憎い？｣
そんな気持ちはとうのうちに消え去っていた。
ドロドロに溶けて原型も留めていない彼女の姿を見て、私は恐れ慄いた。それと同時に、彼女、彼らに対する憤りは失せていた。
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彗(プロフ) - さっき読みはじめて今読み切りました。号泣です。素敵な作品をありがとうございました (2020年2月23日 1時) (
レス) id: cf7fdf27c9 (このIDを非表示/違反報告)
みのもんた(プロフ) - ぁ、、あぁ( ；∀；)愛ちゃん、、、うわぁぁああ(TTTTT□TTTTT)もぅいい話すぎますよぉ！！なんかもぅすごい引き込まれました！！泣才能ありますよ！！まじで！そーゆぅアニメ見たいですほんとに。ぁあー読み終わっちゃったのがすごく残念。。これからもファイトです！ (2017年10月22日 15時) (レス) id: fd2eec93e7 (このIDを非表示/違反報告)
すふぃ - あぁ、目からポカリが、、、、 (2016年10月23日 18時) (レス) id: 38e1760aba (このIDを非表示/違反報告)
夕凪*ﾟ - すごくいい作品で一気に読んでしまいました…!!本当に感動で涙がとまりません（ ; ; ）素敵な夢をありがとうございました!!! (2016年4月3日 1時) (レス) id: ca1c6f1dc0 (このIDを非表示/違反報告)
白雷(プロフ) - すごくいい！ (2015年8月22日 11時) (レス) id: 55569623d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑠璃瑚 | 作成日時：2014年2月28日 19時
