226話 ページ29
話を聞き終えた私は、何も言うことが出来なかった。何も言うことがなかった。言葉が見つからなかった。
「ねえ、あんたは泣くことしかできないの？」
謝らなければならない。そう頭の中でわかっていても口が震えて、涙が零れて、上手く言葉が紡げない。
「ごめん、な、さい...」
身体の力が抜けて、震えが止まらなくて、地面にペタリと座り込んでしまう。
「暴力は振るわないって決めいた。だって、あの女と一緒になってしまうから。だから、精神的に追い詰めてやろうと思ったの。どう？苦しかった？」
「ごめんなさい...」
「苦しかったかどうかを聞いているの。」
私は頷いた。何度も、何度も。
「あはははは！本当に最高、良い気分だわ。これからもあんたは苦しみ続けるの。あたしが近くにいる限りね。」
これは償いなのだと思った。私を生み落した女が彼女を傷つけたのだから、その償いは私がしなければならないのだと。
その時、屋上の扉が開かれる音が聞こえた。
「A！」
その音と共に聞こえたのは焦燥感が混じった彼の声だった。
「あーあ、ついに来ちゃったか。」
と、彼女は言うけれど、そこに焦りはなかった。
「てめえ、Aに何しやがった！」
この状況を見てか、青峰くんが声を荒らげた。
「青峰くん、いた！？」
続いてさつきやキセキの皆が入ってきた。
「あんたの周りには人が沢山いるのね。」
「おい、何をしたかって聞いてんだよ！」
と、青峰くんは訴えた。
「私の過去を話しただけよ。青峰くんさ、目の前のことしか見ないのは良くないよ。そうやって彼女を傷付けたこと、忘れちゃった？」
愛ちゃんは楽しそうに笑う。
「てめぇ...」
「本当のことを言われたからって怒らないでよ。」
「いい加減にするッス！」
言われたままなのが耐えれなかったのか、黄瀬くんが口を開いた。
「だって事実でしょう。」
彼女の言葉が正論味を持ち、彼は言い返せない。
「A、帰るぞ。」
青峰くんは私の手を引いて、その場から立ち上がらせた。
このまま逃げることは出来る。だけど、まだ私は彼女に何も言っていない。伝えないといけないことが、聞かなきゃいけない事が、言わなきゃならない事がある。このまま引き下がるなんて駄目だ。
動こうとしない私を不審に思ったのか、青峰くんが不安気な顔で見てくる。私は青峰くんによって繋がれている手を振り払り、彼女の元へ歩んだ。
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彗(プロフ) - さっき読みはじめて今読み切りました。号泣です。素敵な作品をありがとうございました (2020年2月23日 1時) (
レス) id: cf7fdf27c9 (このIDを非表示/違反報告)
みのもんた(プロフ) - ぁ、、あぁ( ；∀；)愛ちゃん、、、うわぁぁああ(TTTTT□TTTTT)もぅいい話すぎますよぉ！！なんかもぅすごい引き込まれました！！泣才能ありますよ！！まじで！そーゆぅアニメ見たいですほんとに。ぁあー読み終わっちゃったのがすごく残念。。これからもファイトです！ (2017年10月22日 15時) (レス) id: fd2eec93e7 (このIDを非表示/違反報告)
すふぃ - あぁ、目からポカリが、、、、 (2016年10月23日 18時) (レス) id: 38e1760aba (このIDを非表示/違反報告)
夕凪*ﾟ - すごくいい作品で一気に読んでしまいました…!!本当に感動で涙がとまりません（ ; ; ）素敵な夢をありがとうございました!!! (2016年4月3日 1時) (レス) id: ca1c6f1dc0 (このIDを非表示/違反報告)
白雷(プロフ) - すごくいい！ (2015年8月22日 11時) (レス) id: 55569623d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑠璃瑚 | 作成日時：2014年2月28日 19時
