16話 ページ17
映司さんとアンクがヤミーのところに行ってから、携帯を開ける。
そろそろ電話をかけないと怒られる。
『丸一日電話無視して何してたの！？心配したのよ！？』
携帯のスピーカーから栞さんの大きな声が響く。
｢い、いろいろあって…ごめんなさい……｣
いろいろの内容をどう誤魔化そうか電話をしながら考える。
そのまま言えばきっとお兄ちゃんに伝わるだろう。
『剣崎君はAちゃんの声を聞いたら会いたくなるからって電話かけないし、代わりに私が電話しても出ないし…！』
そんな栞さんのお説教が約10分間続いた。
時々お兄ちゃんが栞を宥める声が聞こえて嬉しい。
『家族探し、｢上手くやれそう｣ってメールしてたけど順調？』
しばらくして落ち着くと、栞さんが元の目的を思い出させてくれた。
｢進展0です…｣
ヤミーとかメダルとか、いろいろあり過ぎて忘れていた。
私はそもそも両親を探しにここまで来たのだ。映司さんやアンクを待つためじゃない。
｢あ、そうだ。お兄ちゃんそこにいるよね？｣
確認すると、うんと答えたので思いっきり息を吸う。
｢お兄ちゃん！！私、何があっても絶対お兄ちゃんのところに帰るからね！！
世界で一番！！お兄ちゃん大好きだよ！！｣
精一杯の大声でそう言った後、電話を切った。
きっと聞こえたはず。
私の家族は本当の両親がいようがいまいがお兄ちゃんだけ。
自分が誰なのかは知りたいけど、その後その人達と一緒に暮らすとか、そういうことは全く考えられなかった。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊
｢だそうよ、剣崎君｣
ツー、ツーという周期的な音が携帯のスピーカーから流れる。
｢いーなー。僕もこんな可愛い妹欲しいよ｣
虎太郎が羨ましそうに広瀬さんの携帯をつつく。
｢天音ちゃんじゃダメなの？｣
広瀬さんがそう聞くと、一瞬固まった。
｢もっとこう…素直な感じがいいかな…｣
天音ちゃんはA同様虎太郎のことを呼びすてにして呼ぶが、確かにAとはタイプが違う。
｢剣崎君？｣
ずっと黙っていると、広瀬さんが俺の名前を呼んで不思議そうな顔になる。
｢世界一って…大好きって…｣
Aが言ったことを繰り返す。
頭の中でさっきの言葉がエコーのように響いていた。
｢ダメだ、可愛い過ぎる…｣
もし本当の家族を見つけたら、その人達と住むんじゃないかと不安だった。
でも、Aは帰ってくると言った。
｢剣崎君ってこんな性格だったかしら…｣
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ゆきみだいふく - ザヨコー (2018年5月24日 20時) (
レス) id: 45dbd6a8fa (このIDを非表示/違反報告)
デリート(プロフ) - 藍澤 水希さん» ありがとうございます。自分でも一期と二期、しかも小説まで混ぜるという無茶苦茶の意味がわからなくなってきていたので、喜んでいただけたのなら安心しました。 (2018年2月12日 23時) (レス) id: 4a5d5c82f4 (このIDを非表示/違反報告)
藍澤 水希(プロフ) - 剣もオーズもすごく好きなので私に凄く嬉しい作品でした……！！書き方もお上手ですし、小説版の話を入れているのもとても良いと思います！更新頑張ってください！ (2018年2月12日 23時) (レス) id: 7b0e10bb72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：デリート | 作成日時：2018年1月31日 22時
