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38話 ページ40

銃兎side


左馬刻の事務所から車を飛ばす。


先ほど俺に突っかかってきたあいつはどこへ行ったのか。


今はただ静かに外を見ているだけだった。


何を考えているのかも分からない表情で、ただ外を見つめている。


バックミラー越しに目が合うと、イラついたように声を出しただけ。


こんな左馬刻は初めて見た…。




銃兎「着いたぞ…あ、おい!部屋も知らねぇだろ!一旦落ち着けよ!」



左馬刻「あ?てめぇ知ってんならさっさと車降りろや。」


どことなく焦った様子の左馬刻に、彼女がいる部屋の番号を教えれば、迷わず足を動かした。




左馬刻「A!!」


バカみたいに早いこいつの後を追いかければ、こいつはノックもせずに部屋の扉を開けた。


銃兎「馬鹿野郎、病院では静かに…それにノック位してやれ。彼女が驚く…ん?」


呼吸を落ち着けてから左馬刻を見れば、こいつは扉に手をかけたまま固まっていた。


何事かと部屋の中を見れば、一人、ベッドの上に座り外を眺める少女がいた。


左馬刻「…A、おま…それどうした…?」


もう一度左馬刻が声をかけると彼女はびくりと肩を震わせてこちらを見た。


以前見た時は輝いて見えた瞳も、今は濁って光を移さない。


白く、綺麗だった顔にはガーゼが張られ、そこ以外にも傷跡が見える。


それだけでない。よくみれば彼女の腕、肩…見える範囲には数か所包帯が巻かれていた。


左馬刻を見る目に以前のような光は無く、恐怖の色が見える。


そんな彼女は、シーツをきつく握りしめると骨格を上げた。


それは笑顔と呼べるようなものではない。


無理矢理にあげられた頬はぴくぴくと動き、作り上げられたその表情からは恐怖の色しかうかがえない。



左馬刻「また…あいつらか…?誰だ、俺がぶっ潰して来てやる…」


一歩、また一歩とゆっくり近づくと彼女はかけていたシーツを手にベッドの端ギリギリまで後ずさった。


左馬刻「A、何に怯えてるんだよ…俺が…怖いのか…?」


ゆっくりと伸ばされた手は、乾いた音を立てて振り払われた。


『…っは、ぁ…ぁ…っ』


明らかに様子がおかしくなった彼女は浅い呼吸を繰り返している。


左馬刻はそれほどショックだったのか間抜け面を晒したまま立ちすくんでいる。


銃兎「おい左馬刻…!明らかに様子が変だろ!誰か人を…」


「A!!」


ガタン。


部屋に響くほどの大きな音を立てて部屋へ入ってきたのは綺麗な黒髪を持つ少女だった。

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琳檎(プロフ) - しれっと更新再開します…。これからもよろしくお願いします…( ._. )" (6月20日 22時) (レス) id: 2253c94c55 (このIDを非表示/違反報告)
琳檎(プロフ) - 嵯峨野 繆謎さん» お久しぶりです。( 'ω')ノほんとに遅くなってすみません、こんなに早くにコメント下さって泣きそうな位嬉しいです!!! (2020年8月22日 0時) (レス) id: 2253c94c55 (このIDを非表示/違反報告)
嵯峨野 繆謎(プロフ) - やっと更新されたあああ!ずっと待ってました!! (2020年8月21日 23時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
琳檎(プロフ) - 叶芽さん» コメントありがとうございます、続きだすの遅くてごめんなさいね(´;ω;`) (2020年8月21日 23時) (レス) id: be3a7aa177 (このIDを非表示/違反報告)
叶芽 - 続きが気になりました!これからも頑張ってください!応援してます! (2020年5月28日 17時) (レス) id: ab515b650e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:琳檎 | 作成日時:2020年4月13日 1時

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