路地裏 ページ42
-一松
朝飯も食べる気になれず、とにかく一人になりたくて家中を歩き回ったが、12人もいるためにどの部屋へ行っても人が居た。
「あれ、一松さんじゃん。何でこんな所うろうろしてんの」
「…別に」
こんなときに何でこいつと会うんだよ。
家で一人になるのは諦めて猫を探しに路地裏をうろうろしていたら、六美に出くわした。
一人で静かに猫と戯れようと思っていたのに、何で話しかけてくるんだよ。
「それじゃ…」
「ねぇ待ってよ」
他の路地裏へ向かおうと六美に背を向けたら、あいつがパーカーの裾を掴んできた。
「…は?!」
「え、何テンパってんの?」
「は、離せよ…!」
「あ、ごめんごめん。パーカー伸びちゃうもんね」
こいつ…無意識でやってんのか?
俺には刺激が強すぎる…!
「で…何なの、わざわざ呼び止めて」
「あのさー、猫ちゃん探してるんだけど。路地裏にいるもんだと思ってたら全然いないんだよね」
そう言ってあいつはキョロキョロと辺りを見回しながら「猫ちゃーん」と声をあげながら探しだす。
「もしかして、さっきからそういう風に大声で呼んでるの」
「うん、そうだけど」
「そんな大声で呼んでも怖がって出てこないよ。ましてやここらの人間じゃないんだから」
「え、そうなの」
六美はショックだったみたいで肩を落とす。
…しょうがないな
「来いよ」
「え?」
「猫が集まるとこ、案内するから」
そう言って俺は六美を猫集会がやってる場所へ案内した。
「ぅわー、猫ちゃんいっぱいだあ」
「あんま大声で喋んないでよ」
「ごめんごめん」
丁度集会時だったみたいで、たくさんの猫が集まっていた。
俺は猫達に近づいて持ってきた煮干しをあげながら適当に近くにいた猫を撫でる。
猫を触ってるときはやっぱり落ち着く。
「…何で猫なんか探してたの」
俺は猫を撫でながら疑問に思ってたことを六美に聞いてみた。
「絵、書こうと思って」
「絵?」
「うん、絵」と言いながら六美は持っていたトートバッグからちょっと大きめのノートと鉛筆を取り出すと「一松さん、そのままその猫ちゃん撫でてて」と言ってサラサラと鉛筆を走らせ始めた。
ちょっと戸惑いつつも俺はそのまま猫を撫で続けた。
チラッと六美の顔を見たりしたけどその顔は真剣そのもので。いつも煩く喋りまくる六美がこんな顔もするのかとちょっと驚いた。
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ミミ - Mさん» お下げ髪…耳から下の2つ結びですね。分かりました、わざわざご説明ありがとうございます! (2017年1月28日 19時) (レス) id: 794681af9d (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - ミミさん» 私の頭の中ではお下げ髪でした。ミミさんのコメントで改めて調べてみると、呼び名が違うだけで同じものだと思っていたのが違うものなんだと初めて知りました。私の知識不足です…疑問を抱かせてしまってすみません。後日改めて直します。 (2017年1月27日 21時) (レス) id: ac422af371 (このIDを非表示/違反報告)
ミミ - すみません、四女さんの髪型なのですが、2つ結びというと一般的にはお下げ髪だと思いますが、本文中ではツインテールとも書かれていました。細かいとは思いますが、どちらの髪型なんでしょうか? (2017年1月24日 18時) (レス) id: 794681af9d (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - ノンノンさん» コメントありがとうございます!がんばります! (2016年12月1日 11時) (レス) id: 060cf696e2 (このIDを非表示/違反報告)
ノンノン - 書くの頑張ってください! (2016年11月27日 10時) (レス) id: d309a533cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M | 作成日時:2016年7月31日 9時