体育館倉庫*4 ページ23
「俺たちがいなかったら、どうなっていたか……。本当に、ちゃんと考えたの?」
「か、考えた!」
四つのライトグリーンが訝しげに、まるで値踏みをするみたいに、じぃっと俺を見る。居心地の悪さを感じつつ答えれば、ふーん、へぇ、と短い言葉が返ってきた。
なんだよ、せっかく返事したのに。思わずムッとする。
そんな俺の様子に気がついたのか、ひなたは小さく溜息をつくと、ゆっくり俺の頬に指を添わせた。へ、と勝手に声が漏れ出る。
「ひ、ひなた?」
「……試しに、実演してあげようか?」
「じつ、えん?」
反芻して、しばらく。脳がそれを理解するのにかなりの時間をかけた。そして理解したと同時に血の気が引く。
「……っ、」
「おっと。やめてよ、危ないな」
ひなたの手を咄嵯に振り払おうとするが、かわされた上に両手首を掴まれてしまった。
「離せよ。こういの、つまんない!」
「はいはい、無駄な抵抗しない」
「い“っ!」
そのまま頭上に持ち上げられたと思ったら、後ろの壁に押しつけられた。手首に鈍い痛みが走る。それでも必死に抵抗するが、ビクともしない。そればかりか更に強い力で押さえつけられる。
「ほら、こうなったらもう動けないでしょ」
「……っう……」
何も答えられない。代わりに、二人を睨みつけた。ゆうたが俺の瞳を覗き込む。
「ね、怖い?」
「……うっさい!」
こんな状況になって怖くないと答える奴がいるなら、是非お目にかかってみたいものだ。
「ていうか、マジでやめてくれない?男相手にこんなこと、」
「その男相手に、こうやって簡単に押さえつけられちゃうってどうなの?」
「うっ」
痛いところ、というか図星だった。なんで俺がこんな目にあっているのか、と泣きたくなったけど、男のプライドにかけて絶対に泣くもんかと気を引きしめる。
そして、負け惜しみとわかりつつも反論する。
「でも、ここまで酷いこと、今までされてないし」
「今までは、ね。Aくんがこれからアイドルとして有名になったとして、もし変なファンがついたらどうするの?今まで通りとはいかないと思うけど」
「そ、だけど……。それでも、俺は男だし」
「だから、男の子のAくんは、男の俺にこうして押さえつけられちゃってるわけでしょ……って、これ言うの何度目?」
ゆうたとひなたが交互に俺の言葉を容赦なくぶった切っていく。何も言い返せないでいると、ゆうたが声を和らげて言った。
「Aくん、女の子とか男の子とか関係ないんだよ」
……関係、ない?
1541人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
苺バニラ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます!そう言って頂けると、嬉しい限りです!更新が遅めになっていて申し訳ない気持ちで一杯ですが、これからも頑張ります! (2019年8月20日 14時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りな - 凄く良かったです!!面白かったです!!更新無理をせず頑張ってください!応援します!! (2019年8月20日 10時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - りさこさん» ありがとうございます(*´ω`*)とっても嬉しいですし、励みになりました!りさこさんは優しい方ですね!今後も頑張ります!! (2019年7月29日 7時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りさこ(プロフ) - 更新お疲れ様です!とにかく最高でした!!これからも応援してます!! (2019年7月29日 0時) (レス) id: c7281289de (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - 夜桜ナイフさん» ありがとうございます!時間が空き次第でよければ、拝見させてもらいますね! (2019年7月14日 16時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ