あんスタ【世界は続いている】4 (ページ30)

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第28話ページ30

絢｢なん、だよ…これ…｣

登校し、教室へ向かえば、絢アヤトの机の上は無惨な事になっていた。

教科書もノートも上履きもそしてアイドル衣装も。

嘲笑う大勢の中に自分のユニットメンバーもいた。

それが何よりアヤトの心を傷つけた。

切り裂かれたアイドル衣装を手に抱え、隠すように顔を覆う。

膝から崩れ落ち涙が溢れた。

｢泣いてるぜこいつ！｣

汚い笑い声が教室を包み、アヤトの心の奥底を土足で踏み込んで荒らしていく。

その頃。

明美｢…｣

羽風｢あの｣

明美｢薫くん｣

羽風｢はい｣

答えはわかっていた。

明美｢あの子に騙されたのね｣

羽風｢え…？｣

おばさんは週刊誌を握り潰して机に叩きつけ、ガタリと席を立った。

そして羽風薫に近づき優しく抱きしめる。

明美｢大丈夫よ。おばさんが貴方の事は守るわ、もう家族同然だもの｣

ニッコリと笑った顔がグリードと重なった。

『守ってあげる』

聞こえはいいようだが裏はこうだ。

『二度と離さない』

おばさんにその気は無いだろうが、今の羽風薫には、十分なくらいだった。

電子音が聞こえる。

夏の終わりにふさわしい、爽やかで涼しげな風が吹いて、伸びた華ちゃんの髪を揺らす。

コツリと彼女の元に誰かが歩み寄り、ブチリと引きちぎった。

そして電子音が激しく鳴り響く。

悪魔のように笑った顔は醜かった。