[A3]こっちみてよお兄ちゃん2[あんスタ]

昔話をひとつさせてくれby月永レオ ページ7

それはまだ俺達が子どもの頃の話だ


幼稚園のAと幼稚園の俺


どこに行くのも一緒いつも一緒だった


その頃からAの可愛さは地元で有名になるくらいだった


天使みたいに可愛くて、それでいて何も疑わない純粋な妹は、見た目によらずわんぱくで


スカートなのにジャングルジムに登ったりカエルを捕まえたりとじゃじゃ馬だったのを覚えている


満面の笑みを浮かべてお兄ちゃん！という彼女は可愛かったし大好きで守りたかった


母さんと大きなモールに来て、2人で揃って迷子になったあの日事件が起きた



｢あの、道を教えて欲しいんだ｣


月永｢だめ！知らない人と話しちゃダメって母さんが言ってた！Aに近寄るな！！がるるる！｣


｢へぇ！Aちゃんっていうんだ可愛いねぇ！｣


｢お兄ちゃん、このおじさん困ってるよ！少し案内してくる！｣



待って！と手を伸ばそうとしたが人が多くてその手は届かなくて



それから1週間、彼女は帰ってこなかった。


毎日、毎日心配で悔しくて悲しくて泣いた


守れなかったと


今思えばこの頃の罪悪感もあり、俺はるかを優先する癖がついたのだと思う


Aを守れなかった自分はあの子にふさわしくないといつも思っていた



帰ってきたAから笑顔は消えていて、毎日泣いていた


それでも力になりたくて、妹に笑って欲しくて


毎日話しかけてそして聞いたのだ


いつかまた会いに来ると言われたと


怯える妹を見て守ろうと心に決めた、絶対に何があっても守ってみせるって


いつの間にかAは心の傷を封じ込めたらしく忘れてしまっていた為あの事件はなかったことにした


そして芸能界に入り、楽しそうにまた笑うようになった彼女に両親は安心して


それでも俺は心配だった、あんなことがあったのに


犯人がそれではAを見つけてしまうのではと



それなら閉じ込めておけばいいのにと。



思い通りにならなくて、もやもやして


そしてるかの事件があった時ここぞとばかり言ってしまった


るかを理由に、アイドルを辞めろと言ってしまった


最悪な兄だ、自分の本心を隠してほかの理由を適当に見繕うなんて



それから俺たちは上手くいってない。



あの番組でも好きだから大切だから怒って冷静さを失っていた



すべて話終わった時俺は泣いていた。

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