【月と太陽が住む街】＿蒼月の過去と今

STORY2 初めての涙と月 ページ2

少し時間が経って溢れる涙を着物の裾で拭う。今までの親に操られるただのお人形さんから、自分はしっかりとした人間として育てられたい、なんて普通の人は確実に思わないことを考え。蔵から出ようと考えるが出れなくて、少し静かになる。そして、蔵は2階建てになっているため2階に向かっては蔵の内装は自分では把握している。その為、窓もあることを知っており窓を開ける。窓を開ければ、そこからは暗い青とそこに誇り高く浮かんでいる月。それはたちまち人を魅了する美しいものだった。この月を引き立てるのは暗い夜中の藍色の綺麗な空。月を、綺麗に見えるには支える役も大切なのだ。勉強で、月と太陽は反対側に居て太陽のおかげで月は綺麗に見える。でも、本を読んでいたときは月と太陽は仲が悪い。それを思い出して今思った。その言葉を誰もいないから声に出す。
「太陽のおかげで月は輝いている。なのに、仲は悪い。どうしてなんだ、お互い仲良くすればいいのに。」

＿それからある程度時間が経って、蔵から出された。親からは反省したかという親に自分ははいとしか返事は出来ない。反論してしまうと家から次は追い出されてしまう。なんて我慢しつつも自室へと戻れば布団に入る。猫のように丸まっており、自分の生きる意味とはなんだと考えてしまう。生きる意味なんてないはずなのにそうやって求めてしまう。救われるのかもしれないと少し期待を抱いていたのかもしれない。また、今日の誇り高く浮かんでいる月と藍色の空。人を魅了する美しい光景は絶対に忘れられない。いや違う、忘れてはいけないものだった。

＿何年も経っても何も起こらない。自分は操られているだけの人形だった。だけども、煉さんとはまだ仲良くしてもらっている。煉さんには自分の家族や思い等を話してはいたが、月と太陽の事だけは話せなくて。やはり、自分から動かなければなにも始まらないのではないのか。なんて考えつつも今日は成人式なため袴を着ている。スピーチ代表の為、マイクを前にして話す。自分の今までの親への思いと親への感謝。そして、最後にこう言った。
「俺は操られ人形じゃない。決められたことをするだけの人形でもない。大人になったから自分自身で生まれ変わる。」
それを聞いた他の人達はざわめいた。親に何事も決められる人形から、すっかり変わったみたいだ。マイクから離れた時親には何言ってんだと言われたがこれが自分の思いだ。なんて反論して、俺は家から出ていくと親に告げる。

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