【月と太陽が住む街】＿蒼月の過去と今

STORY1 親との問題と友達 ページ1

＿過去。それは辛くて悲しくて寂しかった過去。
自分の自由は親に操られ、色々と親に何事も決められていた。所謂、有名家のお坊ちゃんだった。親が決めることに従わなければ行けない。その様子は、親に操られた蒼月涼真という人形だった。親は全てを完璧にこなさなければ叱られる完璧主義者。完璧にこなさなければ親に叱られる。その為に完璧にこなすのがほとんどだった。勉学、英会話、料理のマナー、礼儀作法などの沢山のことを教えられ覚えることに必死になってくる日も来る日も頑張っていた。
親に何事も決められている中、友達は作るなと制限されていたが緩かったため、友達はほんの少し居た。それは、先輩だがこんな親に操られるだけの俺でも仲良くしてくれる優しい先輩＿煉さんだった。先輩に絡むこと自体が怖かった。だって、親みたいな人だったらどうしよう。冷たい目で見られたらどうしようという不安を抱えて生きていたから、そう思ってしまっても仕方がない。
だがしかし、自分の思っていた先輩とは違った。それは、面白いとかではなくて優しかった。言葉には少しキツイのかなとは思ってしまった部分もあるが優しくて自分の友達というには眩しいぐらいの存在だった。そんな存在などは直ぐになくなるわけではなく、ずっと仲良くしてくれた初めての友人だった。その存在で蒼月涼真という人形は初めて人間の温かみ、優しさを知ってしまった。煉さんがいなければずっときづかなかったものに出会ってしまった。

＿ある日煉さんと話していた時、夜だった為真っ直ぐ月の方向を向いてこう呟いた。それも相手に聞こえないぐらいに。
「ありがとう、劉先輩……。劉先輩のおかげで俺は、少し変われた気がする。」

＿ある日。其のある日は、親と初めて喧嘩した日だった。それは、煉さんの存在を聞いた親の叱りだった。それを聞いては自分の思いを何も知らない親に、つい反論してしまった。そのせいで事は大きくなり蔵の中に閉じこめられた。蔵の中に居る時、薄暗くて怖かった。それはあまりにも暗くて誰もいない孤独な空間だ。この孤独が無くなればいいのにと初めて泣く。泣いた瞬間自分の涙は頬をつたり、蔵の床を濡らす。親なんていなければいいのに、俺は言うことをなんでも聞く人形じゃないのにと思いが溢れるばかりで。思いが溢れるということが無いため、この感覚に少し自分の行動にも驚いてしまう。でも、驚きよりも嫌だという感情が強いらしく。

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