【カゲプロ】メトロノームを止めないで【カノ】 (ページ3)

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目を覚ますと、外は土砂降りの雨だった。空一面が黒い雲で覆われていて、朝がきたという実感がわかない。

壁にかかっている時計を確認すると、定刻よりもわずかに早かった。

今年の梅雨は長い。あくびをしながら体を起こすと、着古した寝間着が少しはだけた。

二度寝しようかと思ったが、今から二度寝したところで定刻まで30分にも満たないため、諦めて身支度を整えることにした。病室の一角に備えられた洗面台へ行き、顔を洗い、歯を磨き、寝ぐせを軽く整えた。髪がいつもより少しまとまりづらいのは、湿気のせいだろうか。

寝間着を脱いで入院着に腕を通した。入院着からわずかに薬品のような香りがした。

朝の検査と朝食の時間まで少し時間があるので、いつものようにテレビをつける。すると、聞きなれた報道番組のオープニングが真っ白な病室に流れ出した。ちょうど午前7時になったらしい。

一連の報道が終わり、天気予報が始まったころ、病室の外からちらほらナースの足音が聞こえ始めた。

ナースの足音が今朝はやけにあわただしい。数名が廊下を往来しているようだ。もしかしたら、どこかの病室で入院患者が倒れてしまったのかもしれない。

お医者さんも朝から大変だな。

そんなことは露も知らぬ天気予報士のお姉さんが、今週はほとんど晴れ間がないことを爽やかな笑顔で述べている。そういえば、近頃まったく青空を見ていない。6月上旬から開始した梅雨は、7月中旬に差し掛かる現在までだらだらと続いているのだ。

天気予報後の報道は殺人事件ばかりだった。興味を失い、子供向けの歌番組にチャンネルを変更した。

爽やかな笑顔で雨模様を伝える天気予報士の桃色のスカートが、やけに色濃く頭に残っていた。

真っ白な壁と暗い雲ばかりうつし続ける私の瞳に、あの色はきっと慣れないものだったのだ。

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